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共通番号拡大 情報流出に歯止めかからなくなる

 共通番号(マイナンバー)の利用範囲を制度実施前から拡大する法案が、年金情報漏れ事件を受けた3ヵ月の審議中断の後、わずか1日の委員会審議で成立した。と思ったら、今度は、飲食料品にかかる消費税額の還付制度を個人番号カードを活用してつくるのだという。

 麻生財務相は早速、カードを使いたくなければ「その分の減税はないだけだ」と言い放った。税負担軽減を人質にカードの普及を図ると同時に、「ビッグデータ」にノドから手が出る経済界の要望にも応えられるので一石二鳥というわけだ。全くあきれた話だ。ちなみに、このニュースを聞いたとき、社民党の提案してきた「飲食料品にかかる消費税額戻し金制度」のパクリかと思った人も多いと思うが、党案の還付金額の基準は世帯年収であり、個々の買い物記録は必要ない。

 カード普及のためなら何でもする。国家公務員の身分証をカードと一体化させ、事実上所持を義務づけるのだそうだ。不所持処罰は考えていないと言っていたのにだ。衆院審議での自民・平井たくや議員の「いずれはオリンピックの入場券、入場確認等々にマイナンバーを使うというのは成長戦略にも資する」発言(5月8日、内閣委)も少なからず注目された。ビジネス活用はそのとおりだろうが、これは治安目的活用も当然の前提とする話だからだ。いずれにせよ税・社会保障共通番号という当初の看板はとうに吹き飛んでいる。

 年金情報事件の突き付けた情報流出対策はどうなったのか。政府は、買い物時に提示するカードからは不要な個人情報は読み取らないようにすると説明する。一方で、10月に配る番号通知カード(仮のカード)を金融機関の窓口などで身分証明書代わりに使うことは認めず、公的事務での本人確認用の利用に限るとしている。これには顔写真付きの本カード(個人番号カード)の普及促進策という側面もあるだろうが、番号漏えいを防ぐために番号授受を行なう際には「写真付きの個人番号カード等による厳格な本人確認を義務づける」との政府の説明に、実はリアリティがないことを政府自身が承知していることの表れでもあるだろう。

 政府の還付制度構想がマイナポータル、つまりネット接続を前提としているのも重要だ。民間利用拡大に伴い個人番号に付随する個人情報の経済的価値(まさにビッグデータ)が狙われるという事態の本質に対し、無策を決め込んでいる。

(社会新報9月16日号・主張より)


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