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統幕作成文書 日米一体化先取りした制服組暴走

 防衛省統合幕僚監部が戦争法案成立を先取りして5月下旬に作ったとされる文書。その眼目は、4月合意の日米新ガイドライン(防衛協力指針)に明記された「新たな、平時から利用可能な同盟調整メカニズム(ACM)を設置し、運用面の調整を強化し、共同計画の策定を強化する」方針の具体化にあり、その射程は戦争法案をも超えている。

 統幕文書は、97年旧指針に登場した調整メカニズムをBCMとし(ちなみに、この「B」は旧指針邦訳で隠されていた。これはバイリテラル、すなわち「双務的」の意)、BCM改めACMは「平時から利用可能としている点が大きな特徴」だとした。さらに、旧指針邦訳では制服組同士のBPC(共同計画検討委員会)が平素から「検討を行なう」とぼかされていた共同作戦計画について、共同計画策定メカニズム(BPM)の枠組みの下で「策定・更新の実施が明記された」と自負している。計画策定を主管するのが統幕なのだ。

 中谷防衛相は8月11日の時点で「資料がいかなるものかは承知していない」ものの「同じ表題の資料は存在する」としていた。だが同19日になると、11日まで内容を確認していなかったが、5月15日に法案の「分析、研究」を指示したことを認め、資料は指示の範囲内のもので文民統制上の問題はないと開き直った(かつて法的根拠のない出港する米空母の護衛を調査・研究と称しただけのことはある)。これが、先に成立した改正防衛省設置法がうたう軍事(制服)と政策(文官)のバランスの取れた大臣補佐の実態だ。改正法は部隊運用に関する業務を統幕に一元化しているのだ。

 折も折、8月12日に沖縄県沖合で発生した米軍ヘリ墜落事故が気になる。米軍特殊作戦部隊員が陸上自衛隊中央即応集団所属隊員に訓練を見せていたときの事故だというが、他のどの国が参加していたのか、本当に「着艦失敗事故」だったのか、情報が隠されており、特定秘密保護法の影を感じざるを得ない。米軍から海保、防衛省への連絡が事故発生から1時間前後、同省から県への連絡が約2時間もかかっているのも気になる。統幕文書には、「このACM内には、運用面の調整を実施する軍軍間の調整所が設置される予定」と臆面もなく明記されているが、一体何のための「調整」なのか。軍事的必要性と合理性を住民の安全や権利より優先する。この点でもまさしく戦争法案の先取りだ。

(社会新報9月2日号・主張より)


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