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アベノミクス 格差拡大する政策から方向転換を

 戦争法案の陰に隠れた格好となっているが、安倍政権の前途にはもう一つの暗雲がたなびいている。政権浮揚の金看板だったアベノミクスの行き詰まりだ。

 アベノミクスの第1の目標は2年間で「物価上昇率2%」だったはずだが、15年度の目標はすでに1%に下げられている。うまく飛んだはずの「第一の矢」も的を外したのだ。おかげというべきか、5月の毎月勤労統計確報では、物価の伸びに対する実質賃金指数が25ヵ月ぶりに前年同月比でプラスに転じた。だが、速報段階ではマイナスであり、4月は速報でプラスだったのが確報でマイナスに修正と、前途は予断を許さない。14年国民生活基礎調査によれば13年の全世帯平均所得額は前年比1・5%減で、ピークだった94年からの下落率は20%超。生活実感としてはこちらの方だろう。

 政府は20年度の基礎的財政収支黒字化目標を掲げ続けている。しかし、同年度の赤字予測は税収増などを受け2月の試算より減ったとしても、また実質成長率は楽観的な2%という前提を置いても、赤字そのものの解消は困難。出口は一層の歳出削減しかないという結論に誘導したいようだ。

 6月末閣議決定の骨太方針15は、社会保障費の伸びを3年間で1・5兆円(年間5000億円)に抑える方針を打ち出した。自然増が年8000億円〜1兆円とされることを考慮すると、今後年3000〜5000億円の削減となる。これは小泉構造改革での年2200億円抑制を上回る額だ。

 安倍政権は、アベノミクス不振の責任を労働や農業などの「岩盤規制」のせいにするだろう。しかし、金融緩和で資産バブルをお膳立てしながら、公的セーフティネットを縮小し、非正規雇用を拡大すれば、何が残るのか。ただでさえバブルは発生と崩壊のプロセスを通して格差を一層広げるのだ。上場企業上位100社の最高額の役員報酬の平均は前年から4・8%伸びる一方、同じ100社の従業員の平均年収は1・5%減だという。これがアベノミクスの「成果」なのだ。

 「地方創生」が後付けで出てきたのはなぜか。いくら規制緩和で企業に収益機会を提供しても、人口が減り高齢化が進む地域に企業は立地したがらない。だから地方に行く企業には法人税減税だという。その穴埋め財源は消費税頼りで、これも出口は見えてこない。

 表層的バブルを演出しつつ、アベノミクスは「悪循環」しか準備していない。

(社会新報8月5日号・主張より)


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