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安倍首相出演 支持率低下に焦り国民欺く例え話

 安倍首相は20日、フジテレビ系報道番組に生出演し、戦争法案を戸締まりや消火活動に例えて「説明」した。その姿は異様であった。

 まず、「オファーがない」などとうそぶきつつ、自らの意向に沿う特定局に出演し、司会者らの質問に答える形式を取りながら、90分間にわたり事実上の独演会を繰り広げたこと。「政治的に公平であること」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」と定める放送法4条に照らせば、この番組は政府広報と言うほかない。

 内容はさらに問題だ。集団的自衛権行使容認の理由とされる安保環境の変化について首相は「かつては雨戸だけ閉めておけばよかった」とした上で、「今はどうか。例えば振り込め詐欺だとか、電話がかかってくる。口座が電子的に取られてしまうという事態にもなっている」との例え話を展開し、「そういう事態にやっぱり備えていなければいけない」と説いた。何の話をしているつもりなのか。

 肝いりの「自国防衛のための集団的自衛権行使限定容認」では、「アメリカ家」の母屋と離れ、「日本家」の3つの家屋や火事の炎、消火器などの模型をいじくりながら、日本家が危ないわけではないので母屋まで火を消しには行かないが、日本家も火事になるかもしれないので「離れの火を道の上から消すことができる」と力説した。これがどうして、朝鮮半島有事という戦争に、日本が攻撃されていない段階から加わり、武力行使するという事態の説明になるのか。朝鮮有事での米艦防護を個別的自衛権の拡張として整理できないかとの質問に対し首相は「国際的には先制攻撃とみなされる可能性が高い」と否定したが、これは、集団的自衛権と位置付けるなら先制攻撃しても問題ないと言っているのと同じなのだ。

 話はガラッと変わるが、昨年来注目の集団的自衛権行使を違憲と結論づけた72年政府見解を引き出したのは社会党の水口宏三参院議員。47年2・1スト当時の農林省、官公労働運動の指導者であり、60年安保当時の安保改定阻止国民会議事務局長だ。水口議員は73年、春闘デモを議面前で迎え激励演説中に倒れ、58歳で死去した。弔辞の中で社会党の成田委員長は、国民会議の事務所が参院議面の2階にあったことに触れ、「そこはまさにあなたの平和と民主主義の闘いの場であったところ」と述べた。まさに今、そこは闘いの場だ。

(社会新報7月29日号・主張より)


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