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戦争法案違憲 最高裁使っても憲法破壊変わらない

 憲法学者の圧倒的大多数が安保関連法案(戦争法案)は違憲との認識を示すという事態に直面した高村自民党副総裁は「憲法学者の言うとおりにしていたら、日本の平和と安全が保たれたか」と言い放った。1950年、全面講和論を主張した南原東大総長を、吉田首相が「曲学阿世の徒」と非難した出来事を想起させるものだ。このとき佐藤栄作・自由党幹事長(安倍首相の大叔父)は「この問題はすでに政治の問題になっているので、象牙の塔にある南原氏が政治的表現をするのは日本にとってむしろ有害」と述べたという。この人たちは実に変わっていない。

 この高村氏の言葉は言い古された「安保繁栄論」にすぎないが、この批判と反批判の応酬を通じて、1年ぶりに集団的自衛権行使合憲論の「根拠」としての砂川判決をめぐる論争が再浮上するとは、予期されていたのかどうか。高村氏らに言わせれば、最高裁は「必要な自衛のための措置」を取ることは憲法が禁じるものではないとすると同時に、その措置が何であるかを内閣と国会の政治的判断に委ねている。すなわち、国会多数派に支えられた内閣の判断は合憲であるほかなく、それこそが立憲主義だと言っているのだ。まさに立憲政治否定の独裁正当化論だ。この論理の破壊性に再び焦点が当たったことが、この間の動きのポイントだ。

 しかし、政治家の判断とはそんなに大層なものか(菅官房長官は、元自民党幹事長らの反対意見を「議員バッジを外された方。全く影響ない」と切り捨てていた)。クルーグマン米プリンストン大教授のNYタイムズ連載コラムによれば、米大統領選に名乗りを上げた共和党のジェフ・ブッシュ氏(前大統領の弟)は、「いま知り得ていることを当時知っていたら、2003年のイラク侵攻を支持したか」と問われると、「支持しただろう」と答えた。さらに、「仮定の話」には興味ないし、過去にさかのぼることは従軍した人々への「ひどい仕打ち」だとしたという(『朝日新聞』5月22日付朝刊)。驚くに当たらない。安倍首相らは米国支持について国会で何度も同趣旨のことを述べた。そして、自国の過去の戦争の過ちを指摘しその責任を問うことは、「尊崇の念」を表すべき「国のために戦い、尊い命を犠牲にされた御英霊」を冒とくすることだと言ってきた。将来あるかもしれない戦争の後、こんな無責任な言葉を聞かされるのは耐え難い話だ。

(社会新報6月24日号・主張より)


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