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派遣法改悪案 施行前に労働者保護の骨抜き狙う

 派遣法改悪案の衆院採決をめぐり国会が緊迫している(11日現在)。塩崎厚労相が年金情報漏えいという大難問を抱えてしまった以上、派遣法を先に片付けたいということか。しかし、情報漏れ問題以前に、厚労相は、厚労省職員が国会議員向けに「いわゆる10・1問題」文書を作成・配布したことの責任を問われている。この問題は派遣法改悪の内容そのものなのであり、厚労相が「内容が不正確で不適切」と国会で陳謝すれば済むことではない。念のため申し添えておけば、「同一労働同一賃金推進法案」を可決すれば穴埋めできるという問題でも全くない。

 現行派遣法は、違法派遣があれば派遣先に直接雇用される「直接雇用(労働契約申し込み)みなし制度」を定め、その施行日は10月1日だ。すなわち、この時点で違法行為をしている場合には、派遣先はその時点で労働契約の申し込みを行なったものとみなされる。

 だが、改悪案はこの制度が適用される違法行為から「業務単位の派遣受け入れ期間制限違反」を削除した。事業所単位や個人単位・組織(課等)単位の期間制限違反の場合は適用されることになっているが、同時に、派遣元が有期雇用する労働者個人を入れ替えるか課等を変えるかすれば、また過半数組合等の意見を聴取さえすれば、個人単位・組織単位の制限も事業所単位の制限もクリアできるとしているため(無期雇用派遣労働者についてはそもそも期間制限がなくなる)、直接雇用みなし制度は実質骨抜きになるという仕掛けだ。

 改悪案の施行日が9月1日なのは、そういう意味だ。しかも10・1文書は、改悪案が施行されないまま10月1日を迎えた場合、「3年以上(現在は期間制限がない専門)26業務に従事する派遣労働者が、(業務による制限の有無がなくなってしまうので)派遣先に直接雇用されたいため、(みなし雇用適用を目的に現在違法の)26業務以外の業務を故意に行なう」ことで「訴訟が乱発されるおそれがある」と言い放った。さらに、派遣先がこうしたみなし雇用に関わるリスクを回避するため、同日前に26業務の派遣受け入れをやめ、「大量の派遣労働者が失業」する恐れがあるとしている。

 全く許し難い。違法派遣は派遣先がやらせるのではなく労働者がわざとやるのであり、派遣先がそのリスクを避けるため労働者を切っても自業自得だというのだ。こんな本音を隠した法案を通してはいけない。

(社会新報6月17日号・主張より)


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