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戦争法2法案(上) 「切れ目なく」戦争に発展していく

 「戦争は平和である」。ジョージ・オーウェルは『1984年』で、このスローガンが掲げられている社会を描いた。日本の現状は、この「ダブルスピーク」(二重語法)が支配する社会に近づいている。「戦争法案などといった無責任なレッテル貼りは全くの誤り」との安倍首相の言明(15日の記者会見)は、ダブルスピーク宣言そのものだ。

 戦争法案のごまかしを具体的に見てみよう。ちょうど1年前、「ここに乗っているのは皆さんのお父さんお母さん、あるいは子どもたちかもしれない。このような人たちを日本政府は守ることができない」と述べ、集団的自衛権行使の具体例として「邦人輸送中の米艦防護」の必要性を訴えたのは、首相その人だ。ところが今はペルシャ湾での機雷掃海だ。「お父さんお母さん」はどこへ行ったのか。

 米艦防護の話は残っているものの「米軍は日米安全保障条約の義務を全うするため日本近海で適切に警戒、監視の任務に当たっている。その任務に当たる米軍が攻撃を受けても、私たちは日本自身への攻撃がなければ何もできない」「日本近海で米軍が攻撃を受ける状況は人ごとでない」(同)という文脈においてだ。

 これが何を意味しているのかというと、まず、米軍(あるいは他国軍)が武力攻撃(組織的・計画的な武力の行使)を受けたと認められる前から、自衛隊は米軍等の武器防護を理由とした武器使用ができるということだ。従来、武器防護のための武器使用は武力行使に当たらず、自然権的権利としての緊急避難・正当防衛だとされてきた。この説明でも苦しいのに、米軍等を守るために武器を用いることを正当化する理屈はあるのか。昨年5月の安保法制懇報告も「本来は集団的自衛権の行使の対象となるべき事例について、個別的自衛権や警察権をわが国独自の考え方で『拡張』して説明することは、国際法違反のおそれがある」とクギを刺していたほどだ。これを、米軍等は「わが国の防衛に資する活動」をしているのだとして、現場の自衛官が「その事態に応じ合理的に必要とされる限度」で武器を使ってもいいとする。「その事態」が、国会事前承認を必要とせずに後方支援ができる「重要影響事態」、さらに、米軍と肩を並べて武力行使する「存立危機事態」へと発展していくことは、確実に想定されている。それこそ「切れ目のない備えを行なう平和安全法制」(同)の正体なのだ。

(社会新報5月27日号・主張より)

戦争法2法案(下)憲法の縛り解けば全ては政府裁量


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