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放送への圧力 安倍政権は直ちに政治介入やめよ

 政権与党による放送への介入が激しさを増している。自民党情報通信戦略調査会は4月17日、NHKとテレビ朝日の幹部を呼びつけ、番組内容に問題があったとして事情聴取を行なった。同党は、第三者機関のBPO(放送倫理・番組向上機構)への申し立ても検討するとしつつ、BPOの対応に納得がいかない場合には、BPOに対する政府関与もあり得ることを示唆した。併せて同調査会の川崎二郎会長は「(政府には)テレビ局に対する停波の権限まである」と述べ、政府による直接介入にも言及した。

 安倍政権の圧力行使は最近始まったことではない。衆院解散直前の昨年11月には「出演者の発言回数および時間等」「ゲスト出演者等の選定」などの具体的な番組のあり方に触れつつ「公平中立、公正を期していただきたい」と在京キー局に文書要請した。しかも、テレ朝系「報道ステーション」のプロデューサーには直接文書を送っていたことが後に明らかになった。

 では一体、番組の政治的公正性とは何なのか。放送法1条の目的規定には「放送の不偏不党、真実および自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること」とある。これを素直に読めば、放送の公正さとは放送局が自律的自主的に判断すべきものであるのと同時に、その判断を行なう条件を保障することが、権力に対して求められていることが理解できる。「公平公正」を振りかざした政府の見解の押しつけが、放送法で正当化されると考えるのは誤りだ。

 NHKの籾井会長が、就任以来の「政府が右と言うことに対して左とは言えない」「(『慰安婦』問題は)正式に政府のスタンスがまだ見えない」などの発言が問題視され、野党から何度も国会に呼ばれたことを、今回の自民党の行為と同一視する誤解もあるようだ。しかし同会長の場合、個別の番組内容が問題とされたわけではなく、また、国会にはNHK会長の任免権はない。会長発言は、放送法3条が「放送番組は、法律に定める権限に基づくものでなければ、何人からも干渉され、または規律されることがない」とする編集の自由を自ら放り投げようとするものではないかとの疑いを抱かせたことが、国会招致の背景にほかならない。

 川崎調査会長発言が裏から照らし出したように、むしろ見直すべきは、政府による直接免許制という放送制度の方だ。表現の自由は剣ヶ峰に立たされている。

(社会新報5月20日号・主張より)


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