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日米指針改定 与党「歯止め」の茶番ぶりを裏書き

 日米ガイドライン(防衛協力指針)の再改定合意が強行された。その核心は「日本が地域やグローバルな安全への貢献を拡大することを可能にする」(4月28日の日米共同声明)ことであり、97年指針に盛り込まれた日米軍事一体化の調整メカニズムが「平時から利用可能な同盟メカニズム」として実働段階に入ったことが、ポイントとなる。

 この新指針合意を前に、自公間の与党協議が事実上決着したとされる。ということはつまり、公明党が言う「歯止め」なるものは、新指針の手のひらの上で、そこから日程上逆算しつつ、手柄として授けられたものにすぎないということだ。

 具体的に見てみよう。「例外ない事前承認」は、後方支援の恒久法しか対象にしていない。つまり、米軍との共同作戦(集団的自衛権行使)や対米軍後方支援(重要影響事態)は例外となるか、その公算が強い。また、武力行使の新3要件が法に明記されるというが、もともと与党合意で「過不足なく盛り込」むとしていたことであり、そもそも他国防衛のための武力行使を行なうための新3要件を過不足なく盛り込むことに、歯止めの意味は全くない。

 新指針合意とこの間の与党合意では、なおはっきりしていない問題もある。例えば、国連が統括しない紛争後の治安維持活動で停戦合意が存在しない(従来のPKO5原則を充たさない)場合、自衛隊の参加には別の特措法が必要なのか、あるいは5原則見直しを盛り込んだ改正PKO法で行けるのか。このことは裏を返せば、主に集団的自衛権行使を除く自衛隊の海外活動分野を広く包括する「スーパー恒久法」路線に公明が歯止めをかけたと説明されてきたが、法律をバラしても、一番やりたい治安維持活動参加には支障がないようになっているのだ。

 さらに、武力攻撃が発生していない段階での船舶検査活動(臨検)については、新指針でも具体的な記述がないため、気になる点の一つだ。周辺事態法の拡大(地理的制約の撤廃)に伴い、関連法である現行の船舶検査活動法が見直されることは「理解」が可能だが、大量破壊兵器拡散防止などの「国際社会の平和と安全」を大義名分とした船舶検査における武器使用権限などについては、方針が不明確なままとなっている。

 いずれにせよ、条約でさえない新指針が国内法や憲法を振り回すことで、安保同盟の「国体化」の新段階が画されようとしている。

(社会新報5月13日号・主張より)


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