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高浜原発差止 「原発震災」を防げない新規制基準

 原子力規制委が2月、新規制基準に適合していると認めた関西電力高浜原発3、4号機について、福井地裁は4月14日、運転を差し止める仮処分決定を下した。

 この画期的な福井地裁決定の特徴は何か。第1に、「地震大国の原発」という、日本の原発の抱える決定的問題に切り込んだこと。思い起こせば07年、中越沖地震で柏崎刈羽原発が停止したとき、その揺れは「現実にはおよそあり得ない限界地震による基準地震動」(当時のS2)を超えてしまった。この衝撃的事態を受けて耐震設計審査指針が見直されることになり、基準地震動は「Ss」に一本化されるとともに全国で引き上げられることとなったが、なぜかその数値は横並び。今に至る、基準地震動を取引材料のように扱い、小出しに引き上げていくという非科学的手法が横行するようになった。併せて、柏崎原発を襲った揺れは設備・機器の弾性(元に戻る)限界を超えるものだったが、電力会社は「壊れるまでにはまだ余裕がある」と居直るようになったのだ。

 第2に、地震想定について「信頼に値するという根拠を見いだせない」という問題は、新規制基準自体の問題へとつながってくる。地裁決定が「緩やかに過ぎ、適合しても本件原発の安全性は確保されず、合理性を欠く」と断罪した新基準を、「世界で最も厳しいと言われる新基準」と菅官房長官は言うが、新基準はどこで名をはせているのか。仲間うちで言っているだけではないか。そもそも、新基準への適合は安全の保証ではないと認めたのは、規制委の田中委員長その人だ。

 原子力市民委員会(吉岡斉座長)は、新基準について「部分的改善を支払い可能なコストの範囲で行なえば、全ての既設原発が合格できるよう注意深くデザインされたもの」と指摘している。その上で、新基準に合格するテクニックは「ほとんど『詐術』と言い換えてもよいような不適切な技法」と酷評し、その具体例として、立地審査指針の廃止に代表される「遵守(じゅんしゅ)すれば不合格の判定を下すことが必至の要件を規制基準の中から全て取り除いてしまうこと」や、基準適用に際しての評価を事業者に委ね、「例えば基準地震動の決定について事業者に丸投げ」することなどを挙げている。今起きている問題を的確に言い当てているではないか。

 高浜原発、そして他の審査中の全ての原発の再稼働手続きを中止するべきだ。

(社会新報4月22日号・主張より)


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