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汚染水隠し 背後に首相「コントロール下」宣言

 東電は2月24日、福島第1原発の排水路から汚染水が外洋に直接流出していたと発表した。2号機炉建屋とつながる大物搬入口の屋上で高濃度に汚染された雨水が原因とされる。しかも東電は、遅くとも定期測定を始めた昨年4月には、排水路の放射能濃度が高いことが分かっていたのに、一切公表していなかった。東電の汚染水情報隠しは、またも繰り返されたのだ。

 汚染水情報は、この問題が世に知られたころから隠ぺいされていた。東電が海洋漏出を認めたのは13年7月22日。その3日前には海に漏れたと判断していたのに、「資料作りをしていた」として、公表は参院選投票日をまたぐこととなった。

 決定的だったのは昨年2月の件だ。護岸観測井戸から過去最大値のストロンチウムなどが検出されたと発表した際、実は前年夏の発表値がそもそも低すぎた、また正しい値は最初から分かっていたと認めた。知らぬが仏と思っていたのか。

 今回の一件でふに落ちないのは、では東電は、なぜせめて排水路を港内に付け替えなかったのか、あるいは、屋上の除染はやっていなかったのか、ということだ。要は、目立ちたくなかったからではないのか。

 政府の対応も不可解だ。原子力規制委が昨年1月には説明を受けていたのに、東電から対策について「昨年12月まで何の報告もなかった」(宮沢経産相)として、何もしなかったのだという。これは「少しうかつだったところがある」(同)で済まされることなのか。

 一方で規制委は、一定浄化処理した水の海洋放出計画推進に力を入れ、今回の問題発覚と同じタイミングで、タンク内の高濃度汚染水浄化を5月までに終えるなどとする廃炉工程表を示している。仮に明示的な指示がなくても、今や国策推進機関と化した規制委のタンク貯蔵見直しの意向を東電が忖度(そんたく)しないはずもなく、両者は海洋放出の妨げになるような行為を避けたのではないか。

 政府の東電任せと東電の隠ぺい常習。こうした態度の背後にあるのが、例の安倍首相の「アンダー・コントロール」宣言だ。港湾外の濃度は国際基準に照らして問題ないので「影響は完全にコントロールされている」との菅官房長官の答弁は、「薄めりゃいいだろう」と居直っているにすぎず、つまりは海洋放出促進論だ。情報非開示への「おわび」も口にしているが、関係者は腹をくくれと圧力を高めているとしか聞こえない。

(社会新報2015年3月11日号・主張より)


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