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安保法制整備 「切れ目」なくせば武力行使が残る

 2月13日に始まった安保法制整備に関する与党協議は、異様な状況となっている。政府の提示する内容に、公明党にいわば花を持たせるために「のりしろ」が付けられているのは織り込み済みのこととは思われるものの、その分、政府の本音があからさまに込められている。すなわち、昨年7月1日の閣議決定を逸脱する中身が随所に見られる。

 協議開始直前、政府は「周辺事態法は存続」の方針だと報じられた。ところが協議のフタを開けてみると、「周辺事態はもともと性質概念であり地理的概念ではない」として、事実上、地理的制約を意味すると解されてきた周辺事態の概念を削除するとともに、米軍以外への支援もできるようにするのだという。小手先のごまかしではないか。

 これは序の口。「武力攻撃に至らない」(7・1閣議決定)グレーゾーン事態対処では、米軍が武力攻撃されていない段階から、自衛隊法の武器等防護のための武器使用規定を援用して自衛隊が武器を用いて米軍を防護するとされていたが、今度はその対象を米軍以外にも広げるのだという。

 「武力行使に当たらない」(同)他国軍への後方支援では、従来の「非戦闘地域」の制約を緩めた上に、国連決議に基づかない多国籍軍支援を可能とする。また、閣議決定では「『武力の行使との一体化論』それ自体は前提と」するとしていたのに、これまでの対米軍後方支援法制では行なわないとしてきた武器・弾薬提供なども可能にしたいという。これらを盛り込んだ「海外派兵恒久法」を制定する。

 そして、「わが国を防衛するためのやむを得ない自衛の措置として初めて許容される」(同)はずの集団的自衛権行使について、安倍首相は再三、ペルシャ湾ホルムズ海峡での機雷除去がその具体例だと明言している。武力攻撃の一環として敷設された機雷を除去する行為は武力行使そのものだ。しかも、それは実際問題、オマーン領海内で行なうしかないのであり、日本は同国との間で集団的自衛権を行使することになる。

 以上のことは閣議決定から直接導かれるものではない。だが、これこそが「切れ目のない」法制整備の正体だ。平時と有事、前線と後方、極東(日米安保)と全世界、警察と軍事、国連集団安全保障と自衛権行使…。時間的・地理的・法的な「切れ目」を極力なくしたいということは、つまり、「武力行使」への制約をなくしたいということだ。

(社会新報2015年2月25日号・主張より)


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