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2015春闘 社会全体を沈ませる格差の是正を

 15春闘が本格シーズン入りする中、安倍首相は12日の施政方針演説の中で、格差問題に一言も触れなかった。片や連合は、「底上げ・底支え」「格差是正」の実現を通じて「全ての働く者の賃金引き上げを起点とした経済の好循環をつくり出すこと」を今春闘の獲得目標として掲げており、そのスタンスの違いは鮮明だ。

 連合が定期昇給・賃金カーブ維持相当分に加えて2%以上のベースアップを賃金要求としているのに対し、経団連は「消費税率引き上げ分の影響を除いた物価上昇率が現状1%未満で推移している」などとして、一律2%以上のベア要求は「納得性が高いとは言えない」とする(15年版経労委報告)。しかし問題は、アベノミクスによる企業収益拡大を賃上げにつなげ、賃金が物価上昇に追いつくことを目指すという、いわば消極的水準にとどまるものではない。労働側が求めているのは、賃金がピークの97年と比べて1人あたり雇用者報酬(賃金総額)で約70万円も低下し(対13年比)、その間、労働分配率も低下の一途という傾向からの脱却と反転なのだから。

 再確認すべきは、こうした労使間分配のゆがみの拡大が、正規と非正規の雇用形態間、男女間、そして企業規模間の賃金格差拡大を伴って進行したことだ。全ての指標がこれらの格差の現状で日本は先進国中最悪水準にあることを示している。また、賃金低下と格差拡大のベースにあるのが、やはり雇用非正規化であることは、ILO(国際労働機関)が年次賃金報告で、日本の雇用所得縮小は(95年の当時の日経連による雇用ポートフォリオ提唱を画期とする)「90年代半ばの労働市場改革と関係がある」と指摘したように、国際的な共通認識でもある。

 連合の調べでは、その賃金収入が主な世帯収入となっている非正規労働者は4割弱だが、正規職が見つからなかった「不本意非正規」では55・3%。また、「貯蓄なし」は「男性不本意非正規」で27・8%に達する。これは、相対的に格差が開いているということにとどまらず、貧困という水準の問題が深刻化していると理解すべきだ。にもかかわらず、さらに女性雇用の非正規化を推進するとともに、中小企業に価格転嫁の困難という問題を強いる再度の消費税増税を行なおうとしているのが、安倍政権だ。

 この格差を一体どうするつもりなのか。この声を経営側と政府に突きつけるのが、今春闘の課題だ。

(社会新報2015年2月25日号・主張より)


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