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農協改革 農協は「協同組合」でなかったのか

 日米TPP交渉大詰めが伝えられる中での農協改革合意劇を見て、労働規制緩和との類似性を感じた人は多いのではないか。アベノミクス「第三の矢」の「岩盤規制」除去の一環として位置付けられていることに加え、規制改革会議などを通じて財界の意向が直接反映されている点、所管官庁とその基本方針(農業の場合は農水省と食料・農業・農村計画)の頭越しに官邸主導の政策決定が行なわれている点で共通している。

 だが、それにとどまらない。農協改革は戦後民主改革の産物としての戦後農政という「戦後レジーム」解体の一環であり、またそのステップではないのか。農協改革を結節点とする農政改革のもたらす農業の将来の姿は、その装いを一新するに違いない。すなわち非営利、自発性と民主的管理、自治・自立と相互扶助・連帯という協同組合の価値と原則は放棄され、利潤獲得を至上目的とする農業経営の企業化が進むだろう。

 規制改革会議の圧力を受けて昨年6月に改訂された「農林水産業・地域の活力創造プラン」には、「農業・農村全体の所得の10年後倍増」という意味不明瞭な目標と共に、農協・農業委員会・農業生産法人の3つの改革断行が明記された。これは、農業の輸出産業化および農業への一般企業参入拡大のために、阻害要因を除くという宣言だ。具体的には、JA全中の単位農協への経営指導の廃止、販売部門(全農)の株式会社化(協同組合原則から導かれる独禁法の適用除外や税制優遇措置の廃止を含む)、単位農協の「総合農協」としての性格否定と専業農家の職能組合化および金融事業切り離し(その帰結は金融資本への市場開放)、農業委員の選挙制の選任制への転換、農地転用条件や企業の農業参入要件の緩和などが提起されているのだ。

 全中はこの間、法定された統制的権限の廃止も視野に、自律的制度としての中央会への転換、経営相談・監査、代表・総合調整の3つの機能への集約(農協法上の位置付け)を逆提案しつつ与党と折衝し、今回の妥協に至った。評価は単純ではないだろう。だが、全中も念頭に置いていたと思われるICA(国際協同組合)第7原則「コミュニティへの関与」、現代の日本的文脈に則して言えば「食と農を基軸として地域に根ざした協同組合」(全中自己改革案の中心概念)としての存立が可能なのか、前途は容易ではない。社民党は傍観するつもりはない。

(社会新報2014年2月18日号・主張より)


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