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安保法制整備 政策判断で自衛隊の活動を拡大へ

 「イスラム国」を名乗る武装組織による非道無法な人質拘束事件。この事件に対する安倍政権の(事件発覚前の経過も含めた)対応については、事が現在進行形であるため、その検証は別の機会としたい。今回問題とするのは、事件を奇貨とするかのように安保法制整備を推進していこうという動きだ。「積極的平和主義」という地球規模の対米軍事協力拡大路線が、集団的自衛権行使という形で自衛隊員の命を危険にさらすだけでなく、一般国民を「テロの標的」にするおそれを増すという懸念は、昨年来各方面から示されていた。政府の姿勢は、これをいわば逆手にとるものだ。

 安倍首相は1月25日、NHKインタビューに応えて「海外で邦人が危害に遭ったとき、現在自衛隊が持てる能力を十分に生かせない」とするとともに、対イスラム国戦多国籍軍への自衛隊参加について「後方支援は武力行使ではない。国連決議がある場合でも、そうでない有志連合の場合でも憲法上は可能」と述べた。

 では、昨年7月1日の閣議決定は何と言っているか。後方支援について閣議決定は、従来の他国軍の「武力行使との一体化」回避の前提は維持するとした上で、支援を実施する場所を「現に戦闘行為を行なっている現場ではない場所」にまで拡大した。また、国連PKO活動などへの参加に関しては、「(これに対する武器使用は武力行使となる)『国家または国家に準ずる組織』が敵対するものとして登場しない」ことを前提とするとした上で、「任務遂行のための武器使用」などを解禁すると同時に、「当該領域国の受け入れ同意がある場合は、武器使用を伴う在外邦人の救出についても対応できるようにする必要がある」とした。

 これとの関連で首相の発言で気になるのは、対イスラム国有志連合への後方支援について「政策的にやるかやらないかを判断する」としたことだ。この発言は、過去の海外派兵特措法などでの武器・弾薬提供禁止、さらには「武力行使目的の海外派兵はしない」との政府の一貫した原則さえも、憲法問題ではなく政策判断の問題(だから変更は可能)だとする考え方を、含みとして持っていると言える。

 閣議決定は、「およそ憲法が禁じていることは何もない」という境地に達している昨年5月の安保法制懇報告と比べれば、まだ抑制は効いている。だが、それは政治に委ねられているいうのが首相の本音だろう。

(社会新報2014年2月4日号・主張より)


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