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安保法整備 朝鮮有事で「切れ目なく」米軍支援

 総選挙勝利を受け、安倍首相は早速、集団的自衛権行使容認の閣議決定を受けた、いわゆる安保法制整備について意欲を示した。

 選挙戦では、7・1閣議決定の解釈に関する与党間の食い違いが鮮明となった(社民党の吉田党首がこの問題を再三追及したのと比べ、これを争点化しようとしない民主党や旧第三極系諸党の姿勢は、印象的だった)。だが、実際の法案や新日米ガイドライン(防衛協力指針)の書きぶりでは、日本的曖昧さは通用しない。首相の口ぶりとは裏腹に、協議日程がどんどん後ろ倒しされているのは、こうした矛盾の表れとも言える。

 しかし、自民と民主、維新は、選挙前から与野党の接点の模索に熱心だった。公約で自民が、閣議決定に基づき「平時から切れ目のない対応を可能とする安全保障法制を速やかに整備する」とうたったのに対し、民主は「『領域警備法』を制定して自衛隊による切れ目のない危機対処を可能とする」とし、維新は「起こり得る事態に切れ目なく対応する『領域警備法』を制定」を掲げた(民主、維新は選挙前に領域警備法を共通政策とし、民主は実際に同法案を国会に提出した)。

 では、これら諸党の共通テキストである7・1閣議決定の「武力攻撃に至らない侵害への対処」の項目には何と書いてあるか。「離島の周辺地域において外部から武力攻撃に至らない侵害が発生し、近傍に警察力が存在しない場合や警察機関が直ちに対処できない場合の対応」について、治安出動や海上警備行動発令のための関連規定の適用関係や、「早期の下令や手続きの迅速化のための方策」を検討するというのだ。

 これは、具体的にどんなケースを想定しているのか。離島侵害などではなく、ズバリ朝鮮半島有事ではないか。90年代初頭の朝鮮半島核危機時、自衛隊は、第2次朝鮮戦争勃発時に北朝鮮から約5万人、韓国から約22万人の難民が日本に流入し、その後その規模は10倍に達すると分析していたのはよく知られている。従来の防衛出動や治安出動の発令要件や武器使用基準にこだわることなく、自衛隊が初めから前面に出て対処する。これこそが「切れ目のない対応」の正体だろう。

 つまり、自衛隊は米軍が後顧の憂いなく戦えるように全力を挙げるというのだ。安倍首相は、自衛隊員が米国のために血を流せば、晴れて宿願の米国による「靖国認知」が得られるとでも考えているのではないか。

(社会新報2014年12月24日号・主張より)


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