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秘密保護法施行 安倍政権が目論む情報支配の一環性

 特定秘密保護法が選挙中の10日に施行される。これは異常なことだ。秘密指定状況を監視する国会常設機関(情報監視審査会)の設置は鳴り物入りで進められたはずなのだが、その監視機関が存在しておらず、審査会運営規則もない状態で、法の運用を始めようというのだ。審査会の情報提供勧告に政府が従う義務はないこと、多数を占める与党が勧告に同意する可能性は低いこと、そもそも情報に接した議員や国会職員の口が封じられることなどの問題点があり、社民党などは審査会設置に反対したのだが、政府・与党にとってはもともとその程度の位置付けだったということなのか。

 その秘密保護法について安倍首相は、総選挙公示前の話だが、「国民は全く基本的に関係ない。報道が抑圧される例があったら、私は辞める」と大見えを切った。見え透いた話だ。いきなり秘密法を報道規制で使うとは思えない上に、秘密法違反事件で裁判となった場合、弁護側への証拠開示が保障されていないという点で、被告側は極めて不利であり、しかも裁判公開の原則が実質的に担保されないという問題点がある。つまり起訴されればほぼアウトであるおそれが高く、首相が不当弾圧の責任を取る可能性はその分低いのだ。

 TPPに利害関係を有する米国の業界関係者は交渉情報に自由にアクセスできるのに対し、消費者や連邦議員、公益関係者は情報に容易に接することができないのだという(日本も同様だが)。企業が国を訴えることのできるISD条項を使った紛争で勝ったことのあるのは米企業だけ、また米政府はこれまで無敗なのは、こうした強者と弱者の情報力の非対称性に支えられている。そして秘密保護法こそ、この情報格差の構造を飛躍的に強める制度であり装置にほかならない。

 自民党が選挙報道で「公平中立、公正の確保」を求める文書をテレビ局に送った。首相らの「公平中立公正」解釈の手前勝手さ(放送法の趣旨とも異なる)は、「慰安婦」番組改変、改憲国民投票法の広報広告の扱い、教科書記述への圧力などでも示されてきた。一言で言えば、政治権力や経済的強者が現実を規定する力の強さをそのまま反映することが「公平中立公正」なのであり、権力監視や均衡への配慮は必要なく、科学的検証に耐え得る歴史的事実さえ、力関係に従い変形されて当然と考えている節がある。今回の選挙では情報と権力も問われている。

(社会新報2014年12月3日号・主張より)


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