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アベノミクス選挙 翼賛選挙化狙う安倍政治の危険性

 安倍首相がアベノミクスを争点に解散すると表明して以来、ナチスの権力掌握過程が気になっている。

 追って菅官房長官は「何を問うか問わないかは政権が決める」と言い放ったが、これは選挙のプレビシット(統治正当化のための信任投票)化ではないだろうか。解散の場面で伊吹議長は憲法7条(天皇の国事行為)に異例の言及を行ない、これが首相による解散であることを印象づけてもいる。

 他方、ドイツは戦後、解散権や国民投票の濫用(らんよう)がナチス台頭を招いたとの反省に立ち(ナチスは独裁確立後に民族投票法を制定、政策の事後正当化のための投票をさらに乱発した)、解散に高いハードルを設けるとともに、国民投票の対象も限定した。

 独裁体制への転機となった1932〜33年、ドイツでは4回の総選挙が行なわれ、ナチスは32年第1回の選挙で第1党に踊り出たものの、実は2回目の選挙では後退した。ヒトラーの首相就任、共産党弾圧の口実となった議事堂放火事件を経て、「内戦下の選挙」「最後の選挙」と呼ばれた33年最初の3月の選挙でも、ナチスは単独過半数を獲得していない。しかし、武装テロや権力弾圧、さらに議院運営規則の改悪というこそくな手段も駆使し、3月23日の全権委任法採決を強行した。その前後、共産党、社民党の議会からの排除と逮捕、結社禁止、労組役員の検挙が行なわれた。「ナチスに学べ」発言の麻生副総理の言う「静かにやろう」という環境はなかった。

 この歴史が現代日本で再現しつつあると言うつもりはない。しかし、「安倍解散」をめぐる状況は一種異様だ。国家のやることに異論を差し挟みにくい「空気感」が強まる中、社会的分断と亀裂をあえて広げ、それを政治的な(さらに経済的な)養分とする。熟議も吟味も何もないむき出しの否定的感情の表出を、自己への支持へと流し込む。これが安倍政治の方法論なのだから。民主主義と一言で言ってしまうと単純すぎるが、人類が時に悲惨さを伴いながら、歴史の中でつむぎ出してきた政治生活、公共生活の知恵を顧みないことに、その本質がある。

 ファシズムは「絶望の党」と言ったのは80年前のトロツキーだが、つい先日ヘイトスピーチと闘う辛淑玉さんは、現代の少数派攻撃を「政権のお墨付きの付いたレイシズム」と形容した。安倍政治の危険性には普遍的性格があり、それ故打倒を叫ぶ理由も普遍的なのだ。

(社会新報2014年12月3日号・主張より)


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