HOME広報社会新報・主張・一覧>再稼働同意 誰がいつ安全を保証したのか不明

広報

社会新報・主張

社会新報

再稼働同意 誰がいつ安全を保証したのか不明

 川内原発の立地地元である鹿児島県薩摩川内市議会は10月28日、再稼働を求める陳情を賛成多数で採択し、これを受け岩切市長は同日、再稼働への同意を表明した。一方、同原発30キロ県内のいちき串木野、日置の2市議会は9月30日、各市を地元同意の対象とすることを求める意見書を可決しており、伊藤知事と県議会の判断が次の焦点となってきた。

 政府はと言えば、宮沢経産相は「安全が確認されたものを地域の理解を得ながら再稼働していく」といつもの態度。ところが規制委の田中委員長は今や周知の、規制委員会は適合性審査を行なうだけであり「安全だとは言わない」との発言を別段撤回も修正もしていない。小渕前経産相は9月に地元に提出した文書で「事故が起きた場合、政府は責任をもって対処する」と明言した。では一体誰が安全の判断について法的な責任を負うのかは、依然曖昧なままにされている。

 規制委が9月10日、新規制基準に適合しているとしたのは、実は設計基準に関わる設置変更許可申請だけだ。設計内容を記した工事計画と運転・保守管理について定めた保安規定が修正再提出分を含めて出そろったのはようやく10月24日のことだ。9月段階では「対策を講じる方針であることを確認」などとされたのみで、実質的審査は行なわれていないと言っていい。

 川内原発が、火山リスクが国内最大との認識で専門家が一致したことで注目されたのを考えると、特に問題なのは10月8日に出された保安規定申請だ。九電は、社長が巨大噴火の兆候を捉えたと判断した場合、5年かけて核燃料を運び出すのだが、方法や搬出先は指示があった段階で検討するのだという。適合性審査の場には招かれなかった火山専門家たちは、規制委の「火山影響評価ガイド」について、「噴火予知可能」の前提が存在せず、前兆把握時の「対処方針を策定」も実行されていないと批判している。まだ到底再稼動に同意できる状況ではないのだ。

 関心が高い避難計画への対応もひどい。内閣府原子力防災会議は9月12日、避難計画が「具体的かつ合理的」であることを「確認したことを了承し」、緊急時の自衛隊などによる「支援」を決めた。見て分かるように政府の基本的立場は自治体を支援することであり、計画を客観的に審査し評価するものではないのだ。互いに責任を押しつけ合いつつ再稼動へと突き進む光景にはうすら寒さを覚える。

(社会新報2014年11月5日号・主張より)


HOME広報社会新報・主張・一覧>再稼働同意 誰がいつ安全を保証したのか不明