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成長戦略失速 賃上げと再増税阻止で生活防衛へ

 4〜6月期のGDP(国内総生産)は実質成長率が年率換算で7・1%減のマイナス成長となり(1次速報値の6・8%減よりさらに悪化)、アベノミクスの失速を内外に印象づけた。

 上半期の貿易赤字は半期の額として過去最大、資本収支を含めた経常収支も上半期として初めて赤字転落した。円安で輸出が増え成長し、黒字も増という話はどこかへ消えてしまった。

 消費増税後の個人消費の反動減予測が楽観的すぎたと言われるが、直接のブレーキとなったのは、「人手不足」という基本的な供給制約だ。これは、公共事業に依存した景気対策という展望を視界不良に陥れている。政府は消費税率の再引き上げについて、7〜9月期のGDPの数値(2次速報値は12月8日に発表)を見て判断するとしているが、V字回復がない限り、再増税の見送りというシナリオも排除できないというのが正直なところだろう。やれ税収増だ、概算要求100兆円超えだ、成長戦略特別枠4兆円だとはしゃいでいる場合ではなくなった。

 他方、物価は確実に上がる見通しだが、来春に物価上昇率2%という日銀目標の達成は危うくなっているため、金融緩和は止められない。アベノミクスの3段飛びシナリオは行き詰まっているのに、「第1の矢」を飛ばし続けるというおかしな状況が現出するのだ。

 人手不足を言うからには、賃金動向を見なければなるまい。数が増え続けている非正規労働者の時給が急上昇して賃金収入が増え、現金給与総額は97年1月以来の高い伸びに。しかし、正社員の所定内給与の改善は遅れており、結果的に、物価上昇分を除く実質賃金は7月の統計で13ヵ月連続のマイナスとなった。15春闘では物価上昇率を反映するとともに、定昇、ベアをしっかり入れ込んだ要求を掲げ、実際に獲得しなければ、好循環どころか生活防衛も実現できないということになる。まさに正念場だ。

 (相対的に?)若いのだから何か「活性化」のアイデアを出せと迫られ、実は困っているという人も多いのではないか。と言うのは半分冗談だが、「日本再興」だ、「地方創生」だと看板付け替えであおるだけの上滑りの政策はやめ、そろそろ地に足を着けた生活改善を追求すべきときなのではないか。リアルを直視すると言いつつ、ファンタジーにどっぷり漬かっているのが安倍政治の特徴であることは、集団的自衛権問題で思い知らされてはいるが。

(社会新報2014年10月1日号・主張より)


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