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秘密法運用基準 チェック機能の不在に変わりはない

 政府は10日、特定秘密保護法の運用基準の修正案を外部有識者でつくる「情報保全諮問会議」に提示した。閣議決定の前提となることだ。7月の素案段階から27ヵ所を修正し、「知る権利」や法施行5年後の見直しを明記した。当初は低調と伝えられたパブリックコメントが30日間で2万3820件に達し、秘密保護法への批判的関心の高さが示されたことを一定反映したものと思われるが、制度の根幹には手を触れていない。

 むしろ基準案が、秘密保護法制の本質を法案段階のように隠していないことに警戒すべきだ。米軍情報も秘密指定対象であることが明確になったのもその一つだ。さらに、国会審議終盤での法案修正を反映し、適正運用のための「重層的な仕組み」として官房長官をトップとする「内閣保全監視委員会」などを設けることとされているが、同委員会などは秘密指定機関と同じ政府組織の一部であり、政府に対する第三者性や秘密指定権限への独立した監視機能を持ってはいない。

 具体的には、同委員会は国家安全保障会議と二重化された存在として、首相の下で軍事・外交秘密を一元的に管理する機関と見るべきだろう。また、違法な秘密指定への内部告発を受け付ける窓口は秘密を指定する当の19行政機関の長(および内閣府の独立公文書管理監)であり、告発者の方が秘密漏えい罪に問われるおそれもあるのだ。そして頼みの外部有識者会議に、個別の秘密指定や解除について意見を述べる権限さえないことは、もはやここで言うまでもないだろう。

 事態はさらに先に進んでいる。「話し合っただけで罪になる」共謀罪は、すでに(自衛隊法に続いて)秘密保護法に組み込まれている。つまり、秘密の故意・過失漏えいについてのみならず、取得の共謀・教唆・扇動も処罰対象であり、メディアもその例外ではない。加えて、共謀罪捜査に盗聴捜査は必須とされる。すなわち、秘密保護法施行と広範囲な犯罪を対象とする共謀罪の創設、盗聴法の対象拡大はワンセットとなることで、相乗効果を発揮する構造になっているのだ。この相乗効果が期待される政治的背景とはズバリ、安倍政権の「戦争する国づくり」への突進であることは、もはやはっきりしている。

 逆に言えば秘密保護法制を掘り崩す闘いは、平和と民主主義、人権、立憲主義を擁護する闘いの極めて重要かつ有機的な一環だ。このことを再度胸に刻もう。

(社会新報2014年9月17日号・主張より)


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