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辺野古弾圧 恵みの海を傷つけるのは何のため

 政府は、8月の敗戦記念日に合わせるように、すなわち占領者米軍に貢ぎ物を差し出すように、新米軍基地を建設するための沖縄・辺野古の海底ボーリング(掘削)調査に着手した。それ以降、「安全指導」などと称して行なわれている、反対派住民らの抗議行動に対する海上保安庁の暴力的な取り締まりは、明らかに従来の一線を越えている。

 工事海域も何も関係ないという海保の姿勢の背景には、日本復帰時の日米合意を拡大解釈し、それまで「陸域の米軍施設保安」のために設けられていた常時立ち入り制限水域を飛躍的に広げるという政府の措置がある。また政府は、海上警備行動発令による自衛隊出動という脅しさえちらつかせている。さらに言えば、7・1集団的自衛権閣議決定にも顕著に表れている、警察活動と軍事の相互浸透という大きな流れの存在も指摘することができる。

 埋め立て強行へと突き進む政府が同時に、辺野古新基地建設の根拠を自ら掘り崩してしまったことには注意すべきだ。米側が難色を示すことで事実上立ち消えとなった、普天間のオスプレイの佐賀暫定移転案。政府はこの構想を持ち出すことで、海兵隊の沖縄前方展開必要論(いわゆる抑止力論)を自分で否定してしまった(そもそも尖閣をめぐる軍事衝突の想定では制海・制空権の確保が必ずしも保障されないのに、輸送機オスプレイが投入され役に立つという理屈自体が憤飯ものだったのであるが)。

 さらにさかのぼれば、06年の在日米軍再編日米合意では、海兵隊の司令部機能がグアムに移るとされていたのに、12年の新合意では米側の都合により、新基地建設とグアム移転とのリンクが解消されると同時に、主力実戦部隊がグアムに移ることになった。「沖縄駐留は抑止力」論は、すでに明白に破綻していたのだ。

 では、米側はなぜ辺野古にこだわるのか。たびたび指摘されてきたように、辺野古には弾薬庫、近くの金武町には訓練基地キャンプ・ハンセンなどがあり、新基地が滑走路だけでなく接岸機能も備えるようになれば、海兵隊の陸海空3機能の一体運用が可能となる。老朽基地の再編合理化に伴い、佐世保まで行かなくても出撃が可能となる新基地を日本側の負担で労せず入手できるのだから、こんなおいしい話はまずないのだ。

 占領者への貢ぎ物とは、まさにそういう意味だ。いつまでこんな筋の通らぬことを続けるつもりなのか。

(社会新報2014年9月10日号・主張より)


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