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汚染水対策 公約違反連発する態勢見直すべき

 福島第1原発のトレンチ(坑道)にたまる高濃度汚染水除去対策で、建屋との接続部を凍らせる「氷の壁」計画がうまくいっていないことが判明した。除去は建屋への地下水流入を遮る「凍土壁」計画の前提なわけだが、その遅れどころか、溶けた氷で増えた汚染水が漏出するおそれがささやかれる事態となっている。

 これに先立ち東電と政府は、建屋近くの井戸(サブドレン)などでくみ上げた放射能を含む地下水を浄化処理して海に流す計画を地元漁協に説明した。山側の井戸からくみ上げた地下水を海に放出する「地下水バイパス」が建屋に流入する水量を減らす効果が確認できていないというのに、東電は「放出するのは海ではなく港湾」「(ALPS=多核種除去設備=では除去できない)トリチウムは薄めればよい」などと、いわば言いたい放題の状態だ。

 その頼みのALPSも不調続きで、除去できるはずだったトリチウム以外の4核種も基準値以下にできていない。しかし東電は「目標はあくまで汚染水のリスク低減」と開き直る一方、「浄化装置の性能は確認できた」とも強弁している。

 ではトリチウムならよいのかと言えば、これも大問題だ。トリチウムは「三重水素」とも呼ばれるように科学的性質は水素と同じであるため、体内に取り込まれ水として存在する分は代謝により容易に体外に排出されるが、体内有機物に取り込まれたものは簡単に代謝されず、長く体内でベータ線を放出し続ける。低エネルギーを理由とした過小評価は危険と指摘される。

 かくも明らかなように、原発汚染水は「アンダー・コントロール」とか「ブロックできている」とかの安倍首相発言は、見る影もない状態だ。にもかかわらず東電と国(原子力規制委、経産省)は、凍土壁への国費投入を除き、真剣に取り組む姿勢を見せていない。特に文字どおり規制当局である規制委の対応は問題ありと言わざるを得ない。今年2月、東電が護岸観測井戸から過去最大のストロンチウムなどが検出されたと発表した際、実は(海洋流出を認めた)昨夏の発表値がそもそも低すぎたのであり、正しい値は同年の測定時点から分かっていたことが明らかになった。規制委は一昨年末から汚染水対策も担当しており、知らなかったという話では本来済まされぬはず。汚染水漏れを想定していない新規制基準に依拠した再稼働準備より、こっちが優先ではないのか。

(社会新報2014年9月3日号・主張より)


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