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選挙制度改革 国会自らが並立制に切り込むべき

 衆院選挙制度調査会メンバーが7月29日、発表された。現在の衆院議員が任期満了を迎える16年までに法改正ができるよう答申を出すとされる。選挙制度改革は各党間協議を通じて国会が自らの責任と判断で行なうべきだとして、設置そのものに反対した社民、共産両党の声を無視した見切り発車であり、第三者機関への丸投げと言うほかない。

 第1の疑問は、衆院議運委の議決に基づき議長の下に設置された「第三者機関」と言われているが、その性格や位置付け、権限が不明確なこと。そもそも憲法上の国会議員の権能規定や選挙制度の法定主義に照らした場合、選挙制度に関する判断を第三者機関に文字どおり丸投げするようなことは、あってはならないはずだ。今でも選挙制度審議会が設置法に基づいて設けられており、その答申の法的尊重義務は現在ないことを考えると、新調査会との違いが形式上ははっきりしない。また国会は二院制なので、衆院議長の下に設けられた第三者機関という存在は位置付けが不明でもある。結局、多数派による「答申尊重」の環境づくりを政治的に担保するための仕掛けが今回の調査会だと思われる。

 その政治性は、第三者機関設置に向けて具体的に動いたのが民主党など野党5党の側だったことによく表れている(議長の下に諮問機関を設置する構想自体は安倍首相が昨年6月時点で公にしているが)。民主の思惑は以下のようなものだろう。最高裁による12年総選挙の違憲無効判決は免れたものの、次の総選挙で1票の格差がまた2倍を超えることは確実。だが、「1人別枠方式」の事実上の温存という問題が残っているのに、与党にこれ以上小選挙区に触る気はない。ならば、当時の野田首相と安倍自民党総裁が合意したはずの「定数削減を含む選挙制度改革」は履行されていないと主張し、比例だけでなく小選挙区も減らす方向で1票の格差問題の解決を図るという「対案」を突き付けるのが得策なのだ、と。

 しかし、「国民に消費増税の負担を強いる以上、定数削減を」が、果たして与党への対抗軸なのか。自民の補完勢力、衛星政党との批判を浴びつつ離合集散する旧「第三極」諸党の賛同を当てにすることが、本当に野党結集なのか。「4割台の得票で7、8割の議席」という現行制度の構造的欠陥から目を背け、小選挙区制と定数削減を前提とする議論を期待することが政党の役割とは到底思えない。

(社会新報2014年8月20日号・主張)


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