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再稼働審査 規制委が防災計画に責任持つべき

 原子力規制委は16日、九電川内原発1、2号機再稼働に事実上のお墨付きを与える審査書案を発表した。

 川内原発の審査をめぐっては、火山巨大噴火のリスクを正しく判断する必要性があるのに、規制委の委員と規制庁職員の中に火山専門家が一人もいないことが当初から問題視され、規制委は4月、噴火の兆候に関する自らの判断基準がないことを認め、専門家会合開催の方針を表明した。ところがその後、「適合性審査と有識者会合は別」だとして、会合は一向に開かれないまま、今回の審査書案の決定・公表に至った。

 そればかりではない。防災計画、特に避難計画の不十分さが強く問題視されている。関心を集めるきっかけとなったのは、「30キロまでの要援護者の避難計画というのは現実的ではない」との伊藤祐一郎鹿児島県知事の発言だ。県の防災計画では30キロ圏内の社会福祉施設や病院の管理者に対し、要援護者避難計画を「県や市町村と連携し作成する」ことを求めているのだが、実際には計画作りの責任を施設側に押しつけ、最も救護が必要な弱者を見捨てると公然と宣言したのだ。

 このような災害弱者への配慮の欠如が許されている背景には、制度的な問題がある。「規制基準と防災は車の両輪」と豪語したのは当の規制委の田中俊一委員長なのだが、その後知れ渡ったように、避難計画の実効性の確保は再稼働の要件になっていない。そのため規制委は自治体に計画作成を丸投げし、ノウハウを持たない自治体は(有事対応の国民保護計画と同様に)コンサルタント業者に作業を請け負わせているのが実情だ。電力会社の責任も明確化するとともに、規制委が、申請を受けた防災計画をきちんと審査する法制度上の仕組み作りが求められているのだ。「避難計画が不十分なら、米国では原子力規制委員会(NRC)が原発停止を指示するだろう」とのヤツコ前NRC委員長の発言を、どう受け止めるのかが問われている。

 現状では、「原子力規制委員会の専門的な判断に委ね、安全と認められた原発は再稼働する」(菅官房長官)とする政府によって、政治判断はしないという言い方の下、新規制基準への適合判断以外のハードルが一切ないまま、立地自治体への圧力が強められ、文字どおり「政治的」なパフォーマンスを経て合意が演出されるおそれが高い。少なくとも制度改善が行なわれるまで審査を停止すべきだ。

(社会新報2014年7月23日号・主張)


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