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閣議決定案 他国の戦争に加わる意味もう一度

 何とも芝居じみた展開だ。自民党が突如持ち出した国連集団安全保障参加時に武力行使を認める方針は、閣議決定原案への明記が見送られたという。しかし、この問題の根は深い。もともと武力行使目的の海外派兵はしないと言っていた安倍首相だが、6月に入って機雷掃海の必要性を力説しだし、その際、戦時であっても「受動的かつ限定的」な武力行使だからいいのだと主張した。この「受動的かつ限定的」という言い回しは、自衛隊法95条の武器防護のための武器使用にあたり、政府の説明によれば「米軍部隊に対して武力攻撃に至らない侵害が発生した場合に対処するため」武器を用いるのが目的とされる(例の15事例で言う弾道ミサイル発射警戒時の米艦防護)。何と「グレーゾーン対処」とは、武力衝突発生前に米軍を守るため武器を使うことだったのだ。グレーゾーンだろうが集団的自衛権だろうが国連集団安保だろうが、事実上の武力行使ありきが本音なのだ。

 ほかにも、想定されているホルムズ海峡で機雷掃海を行なえば、オマーン領海に入ることは必至であるため、一時言われた「集団的自衛権行使は公海上」はどこかへ行ってしまったし、同時にこれは戦時ならオマーンに対する日本の集団的自衛権行使にほかならず、同国も「密接な他国」ということになる。政府の「限定」は言うそばから穴だらけだ。

 あれこれに惑わされないためには問題の原点に帰る必要があるだろう。従来の政府による集団的自衛権の定義は「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利」。すなわち、どちらが本当に「侵略」したのかにかかわらず、「密接な他国」と某国が戦闘状態に入った場合(「密接な他国」は自衛を主張するに決まっているが)、日本は某国を先制攻撃でき、海外で武力行使もできるということなのだ。

 武力行使の「新3要件」で、わが国の存立や国民の生命などが覆される「おそれ」を「明白な危険」に変えるとされているが、自衛権行使3要件の「わが国に対する急迫不正の侵害があること」が消えることに比べれば、その意味は小さい。「明白な危険」要件だとしても、また「わが国に対する武力攻撃」への個別的自衛権行使であっても、従前より武力行使のハードルが低められていると見るべきだ。そこには先制的自衛という発想が潜んでいる。

(社会新報2014年7月2日号・主張)


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