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後方支援拡大 武力行使のできる米軍補完部隊へ

 集団的自衛権をめぐる状況は異様の度を高めてきた。安倍首相が今国会中の解釈改憲を閣議決定するよう指示し、永田町の空気は日に日に緊迫感を増している。

 多国籍軍の後方支援をめぐる与党協議のドタバタ劇は、この問題のポイントをのぞかせた。政府は3日、以下の4条件を満たさなければ「他国の武力行使との一体化」とはみなさないという形で、事実上「武力行使との一体化」違憲論を見直す案を示した。だが6日にはこれを撤回し、現に戦闘行為を行なっている現場では活動しない、状況の変化で現に戦闘行為を行なっている現場となる場合は活動を中断する、などの新たな3基準案を出した。これでも「現に戦闘が行なわれておらず、活動の期間を通じて戦闘が行なわれることがない」という従来の「非戦闘地域」の考え方が放棄されることに変わりはない。しかも、3つ目の条件として「人道的見地から実施する捜索救助活動は例外」が加わり、抜け穴として機能する仕組みとなっているという念の入れようだ。

 安倍首相は戦闘行為・武力行使目的の海外派兵は行なわないと繰り返すが、「一体化」違憲の立場が放棄され、加えて、派遣先で実効支配をしている相手国政府以外は、これへの武器使用が戦闘行為とみなされる「国または国に準ずる組織」ではないとされれば、兵たん支援や武器使用への障害は決定的に小さくなる。さらに、集団的自衛権行使を容認すれば、名実共に海外での武力行使を可能とする「法的基盤」が整うという段取りだと思われる。

 また、この後方支援の問題を別の角度から見ると、首相が与党合意を日米ガイドライン(防衛協力指針)改定に間に合わせよとハッパを掛けることの意味が透けてくる。すなわち、もともと3条件目の捜索救助は、ガイドラインで日米がおのおの主体的に行なうものとして挙げられている活動の柱である。そしてガイドラインの枠組みとは、自衛隊をあくまで米軍の補完部隊として共同軍事態勢の中に組み込むことに他ならない。与党協議とは、ガイドライン改定協議の影絵なのだ。

 首相は、集団的自衛権行使を認めれば抑止力が増すと繰り返す。しかし、そこで暗黙のうちに前提とされている自衛隊が米軍と肩を並べて戦い米軍を助けるという「戦友」的イメージは、現実の姿ではない。首相は、もっと米軍にとって使い勝手のよい自衛隊にしなければと言っているだけだ。

(社会新報2014年6月18日号・主張)


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