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憲法危機加速 戦争当事国になり何を「守る」のか

 安倍首相らは外遊先で集団的自衛権行使容認に向けた発言を繰り返し、憲法の危機は一段と加速している。憲法集会でしばしば耳にしたのは、北岡伸一・安保法制懇座長代理の発言への驚きの声だ。北岡氏は4月21日付の『東京新聞』インタビューで「憲法は最高規範ではなく、上に道徳律や自然法がある。…重視しすぎてやるべきことが達成できなくては困る」と言い放った。まさか、今後の政治は神意に従って行なうとでも言うのか。それとも米国の意向を忖度(そんたく)してればいいというのが本音なのか。いずれにせよ、立憲主義は吹き飛んでいる。

 「限定容認論」が広がるにつれ、具体的に想定されているのが朝鮮半島有事であることがはっきりしてきた。従来からの米艦防護や北朝鮮への輸送船阻止などの事例に、韓国からの避難者を運ぶ米機護衛が加わった。だが、米国と戦闘状態の北朝鮮を日本が攻撃するという事態が次にどんな状況を招くのか、そのリアリティはなおざりにされている。日本海沿岸に並ぶ原発をミサイル防衛で守れるのかを考えただけでも、安易な想定は無責任の極みだ。

 ところが、高村正彦自民党副総裁は3日放映のNHK憲法特番で、日本の施政下にあり安保条約5条の適用対象である尖閣諸島の問題と日本の米国への集団的自衛権行使がなぜつながるのかとの批判が念頭にあったのだろうが、「安保条約上の義務を果たしていれば相手(米国)も果たすはずだと、本当にそこまで言い切れるのか」と述べた。だから米国の戦争に加勢するのだという理屈は、戦争当事者になることに対する想像力をあまりに欠いている。

 投票権年齢を引き下げる改憲国民投票法改正案が8日、衆院憲法審査会で可決された。同法制定時の付帯決議にある最低投票率や有料広告規制の検討などの宿題を棚上げし、選挙権年齢との不整合は放置したまま、改憲派は、次は公務員の国民投票運動規制だと息まいている。すなわち、政治的行為の制限に関する地方公務員法36条には、「公の投票」における支持・反対の政治的目的、投票するよう、またはしないよう勧誘するという政治的行為が明記されているのに対し、人事院規則(国家公務員法)の同様の制限規定は極めて具体的ではあるが、「公の投票」に関する定めが見当たらない。この問題を「解決」し、次に地位利用の禁止・処罰対象明確化に進むという道筋が見えてきた。要警戒だ。

(社会新報2014年5月14日号・主張)


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