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エネ基本計画 合理性が欠落した「ムラ」復権計画

 安倍政権は11日、原発を「重要なベースロード電源」と位置付けた新エネルギー基本計画を閣議決定した。昨年9月以降国内で1基も動いておらず、この40年弱の稼働率は平均70%程度でしかないにもかかわらず、細かい出力調整ができないことを逆手にとって、原発こそ不安定な再生可能エネルギーの「ベース」になるのだとでも言いたげであり、ほとんどブラックユーモアの世界に入り込んでいる。

 原子力規制委の新規制基準適合審査をパスした原発の再稼働も明記した。菅官房長官は早速、安倍首相は再稼働の政治判断はしないことを表明し、基準適合イコール安全、でも政府はその責任は負わないと宣言した。「ベストミックス」の名の下に新増設にも含みを持たせた。3・11前の前回10年策定時でも全国11ヵ所で開かれたという公聴会は今回1回もなかった。これが、原子力委員会が活動を縮小する中、唯一の存在となった原子力政策の姿であり、その策定過程なのだから、「原子力ムラ」の復権は誰の目にも明らかだ。

 特にあきれるほかないのは、全国の原発プールがすでに1万4000d余に達した使用済み燃料で満杯寸前なのに、これをさらに増やす再稼働を進めるのに加え、もんじゅも六ヶ所再処理工場も動くめどがないのに、「核燃料サイクルは継続」としたことだ。プルトニウムを取り出し、もんじゅで燃やしつつ増やすという建前は維持しつつ、もんじゅで核廃棄物の減容・有害度低減の研究をするというのだ。再処理で取り出した長寿命の「超ウラン元素」を高速炉で核分裂させて短寿命のものにするという理屈は確かにあるが、これは何百年もかかる話なのだという。また六ヶ所工場では、プルトニウムとウランを抽出した残りの(超ウラン元素を含む)高レベル廃棄物は「ガラス固化」されるのではなかったのか。大まじめに語れば、適当すぎる話もそうでなく聞こえるという類いのことのようだ。

 日本学術会議は高レベル廃棄物処分に関する12年9月の提言の中で、「暫定保管と総量管理の2つを柱に政策枠組みを再構築することが不可欠」と指摘して核燃料サイクル政策の転換を提唱し、最終処分場選定については「金銭的便益提供を中心的な政策手段とするのは適切でない」とまで忠告した。この提言のような合理的思考に欠け、合意形成の方法論もない、まさに対極にある存在が、今度の新エネルギー基本計画だ。

(社会新報2014年4月23日号・主張)


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