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川内原発審査 「原発震災」対策は放り出しの状態

 原子力規制委は3月13日、九電川内原発1、2号機を規制基準適合審査の優先対象とすることを決めた。基準地震動と基準津波を了承したもので、基準地震動が定まったのは審査中の10原発17基で初めてのこと。川内原発は2度の見直しを経て620ガル(加速度の単位)に引き上げられた。

 それなら大丈夫かといえば、そうではない。原発と地震問題の経過を少しおさらいしてみると、原発の基準地震動はもともとM6・5の直下地震(大きいものではない)によって決められ、06年改定の最新の耐震設計審査指針においてもそれは変わらなかった。ところが07年、M6・8の中越沖地震が柏崎刈羽原発を襲い、その揺れの大きさは、81年の旧指針で現実にはおよそあり得ない限界地震によるものとされた値をあっさり超えてしまった。柏崎の基準地震動が現在、他原発に比べて突出して高い2300ガルであるのはそういう事情による。だが揺れの値が引き上げられたからといって、原発が建て替えられたわけではない。よく見たら「安全余裕」があったとされているだけだ。

 日本で稼働していた全ての原発は06年指針策定の前に設計、着工が行なわれている。しかも、同指針に基づくバックチェック(再審査)は「3・11」の発生によって中断し、その後に作られた新規制基準は従来の耐震指針との関係を説明していないといった具合で、原発と地震問題はいわば迷宮入り状態なのだ。九電が、想定地震動を見直しても設備・機器の耐震性に影響はなく大規模補強は必要ないとしていることに、確たる根拠があるわけではない。

 敷地内に活断層がなく周辺にも少ないことが川内のメリットとされているが、これも怪しい。大きい地震が起きたのに原因活断層は見つからないとされる事例はあり(川内では直近97年)、耐震問題を敷地内活断層の存在の有無に切り縮めてしまうことは適切ではない。そもそも川内の近くには世界最大級の活断層・中央構造線が走っている。また地震の他にも川内には火山灰の降灰や火砕流という脅威がある。川内が優先審査対象に決まった後になって九電が、約3万年前の姶良カルデラ噴火による火災流が敷地に到達した可能性を認めたのは、あまりに露骨な後出しジャンケンだった。

 再稼働同意を求める「地元」とは鹿児島県と薩摩川内市だけなのか、という重大な問題もある。拙速な審査と判断は許されない。

(社会新報2014年4月9日号・主張)


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