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河野談話検証 問われる安倍政権の資質そのもの

 「慰安婦」制度に関する旧軍の関与と強制性を認めた河野談話について、安倍首相が14日の国会で「見直すことは考えていない」と明言すると、韓国の朴槿恵大統領は「幸いなこと」と好意的な反応を示し、米当局者も「前向きな進展」と評価した。10日の時点で米報道官は「河野談話を維持すると官房長官が述べたことに留意する」とシグナルを送り、首相答弁の伏線を敷いていた。こうした一連の動きにより、秘密チームによる河野談話検証の先行きは不透明になってきた。

 この間の流れの震源地は、実は首相自身であり、米国は日米韓連携にヒビを入れる首相の言動に業を煮やした格好だ。靖国参拝強行以来、レヴィジョニスト(歴史修正主義者)としての首相の評価は国際的に確立した。そして、籾井NHK会長の発言や小松内閣法制局長官の答弁は、第1次政権時の「お友達内閣」の再現ドラマを見せつけている。

 今や「この安倍内閣をどうするのか」が問われている局面だと言っていい。これは、個別の課題に政治スローガンを接ぎ木すればよいという意味ではない。憲法と集団的自衛権という決定的な問題に取り組むにあたっても、その語り口は「安倍政権問題」という形をとることになるだろうし、情勢を動かすにはそういう認識、構えが必要だという意味だ。「次は自分の出番」とそわそわし始めたモダン(非復古的)な改憲派・日米同盟強化派がいることは確かだが、それは当面の課題ではない。首相とその取り巻きの資質問題は、「1強多弱」の閉そく状況を突破するカギとなり得る。

 『アンネの日記』破損事件で「ねつ造説」がごく一部が抱いていた妄想ではないことが知れ渡った。この一件は、一つの恐ろしい問いをはらんでいる。もし(加害者側の暴露がないとして)被害者側の生存者が一人もいなかったとしたら、ホロコーストはとうになかったことにされていたのではないか、という予感だ。被害者相互の証言に食い違いがある、強制連行の客観的証人がいない、公的文書が見当たらないなど、「慰安婦」否定論者が主張してきたことは、基本的に欧州の歴史修正主義論争で登場した事実否認の論拠のバリエーションでしかない。

 「アウシュビッツのうそ」派と同質の人々が権力の座にいることこそ、この間の内政外交の混迷の一大要因なのだ。安倍内閣退陣の声は切実であり、その声が大きくなることは必然的だ。

(社会新報2014年3月26日号・主張)


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