HOME広報社会新報・主張・一覧>「3・11」3周年 再稼働より汚染水や燃料棒対策を

広報

社会新報・主張

社会新報

「3・11」3周年 再稼働より汚染水や燃料棒対策を

 福島第1原発事故3周年。昨夏以来の汚染水問題は重くのしかかり、安倍首相の「アンダー・コントロール」発言を冷笑する気さえ失わせる事態となっている。

 2月19日に発覚したタンクからの高濃度汚染水漏れは、昨年8月以来の大量漏えいとなったが、原因は人為的ミスとされるものの詳細は不明であり、タンク貯蔵方式の前途に暗い影を投げかけている。だが、それに先立つ2月6日、ある意味でより深刻な問題が発覚した。東電は、護岸の観測井戸の地下水から過去最大の値のストロンチウム(追ってセシウムも)が検出されたと発表した。ところが、昨夏の検出値がそもそも誤りで、低すぎた(全体濃度で10分の1以下)というのだ。しかも、数値に矛盾があったため昨年後半は計測も公表もやめていたという。さらに、正しい数値をつかんだのは当初の説明の最近ではなく、昨年の測定時点からだったというおまけまでついた。これに恐怖を感じない人がいるだろうか。

 このことは、建屋からトレンチ(坑道)に流れ込んだ汚染水が海に継続的に流出するという、タンクでは解決できない汚染水問題の最も危険な構造が、実は手つかずのまま隠ぺいされてきたことを意味する。にもかかわらず東電は、昨年の漏出判明で中断していた「汚染前の地下水」を海に流す計画の漁業者向け説明を再開した。この先には、ALPS(多核種除去装置)で放射性物質を除去した処理水の海洋放出がある。タンクはもうすぐ満杯だ。ところが、頼みのALPSはトラブル続きの上、長期メンテナンスは絶望視され始めた。また、ALPSで除けないトリチウムは人体への影響が少ないとひところ盛んに言われたが、トリチウムは酸素と結び付くと化学組成上は水と区別できず(だから除去できない)、体内に水として容易に取り込まれるという怖さがあり、無害などではあり得ない。

 原子力規制委は再稼働審査に没頭し、汚染水に絡む測定も対策も東電に実質丸投げしたまま。新規制基準には汚染水漏れ事故の想定も対策も含まれていない。一方で「国も前面に立って対策を進める」(安倍首相)として、遮水壁建設などへのなし崩し的な国費投入が図られている。この構図はどう考えてもおかしい。

 再稼働優先の態勢を見直し、汚染水処理や使用済み核燃料プールからの燃料集合体取り出し作業の対策などに力を注ぐことこそ、3年目の急務ではないのか。

(社会新報2014年3月12日号・主張)


HOME広報社会新報・主張・一覧>「3・11」3周年 再稼働より汚染水や燃料棒対策を