HOME広報社会新報・主張・一覧>安倍教育改革 教育を「国策遂行」の手段にするな

広報

社会新報・主張

社会新報

安倍教育改革 教育を「国策遂行」の手段にするな

 「安倍教育改革」が加速している。その柱は、地方教育行政の最終的権限を首長に移すことで現行教育委員会制度を実質的に廃止する教委改革だ。首長を執行機関とするか、教委を執行機関のままとするかなどの選択肢をめぐり与党内調整が行なわれているが、教育行政の事務方トップである教育長を教委の互選から首長の任免へと変え、首長が策定する「大綱的な方針」の実行担当者とする根幹部分は共通している。独立した教委の解体による首長主導の教育行政システムづくりであり、「大阪方式」の全国化にほかならない。

 教委制度見直しだけでなく、昨年11月末来、改定教科書検定基準の告示、新全国学力テスト実施要項の公表、尖閣・竹島問題を明記する学習指導要領解説改定などが相次ぐとともに、評価を伴う道徳の教科化、高校日本史の必修化、「改正教育基本法の精神を生かす」とする教育再生法案の提出などに向けた動きが強まっている。教委が「つくる会」系公民教科書を採択しなかった沖縄県竹富町に対し、違法行為が何ら認められないにもかかわらず、国が直接是正要求を出すことも検討されている。特定自治体の教科書無償化措置からの排除、都道府県を通さない国の市町村への直接要求、いずれも初めての事態だ。

 検定基準改定は、平たく言えば、バランスに配慮し、通説がない場合はそのことを明記し、政府見解や確定判決がある場合はそれに基づく記述にせよ、ということ。極端な歴史修正主義的主張がある場合は「通説がない」とされ、「通説」でなくても政府見解には従わなければならなくなる。これが、かつて「慰安婦」問題は中立的に扱えと言ってNHKに介入し、今は「侵略の定義はない」と公言している人物の政権下で行なわれようとしているのだ。

 学力テストの成績は、市区町村別や学校別の公表が可能となった。かつて「公表しない」から教育に対する「不当な支配」にあたらないとされたこと(76年旭川学テ判決)との関連が今後問われることになろう。

 こうした一連の改革を通じて目指されているのは、国家主義的イデオロギーを児童・生徒にすり込みつつ、企業が求める人材を育てるという「グローバル人材育成」であり、端的に言えば「国策遂行手段としての教育」(中嶋哲彦名古屋大教授)への転換だと言える。安倍教育改革は、憲法改悪や新自由主義改革と一体をなす危険な企てなのだ。

(社会新報2014年2月19日号・主張)


HOME広報社会新報・主張・一覧>安倍教育改革 教育を「国策遂行」の手段にするな