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アベノミクス 雇用と生活安定こそ評価の物差し

 アベノミクスの特徴の1つは、実は本質的には以前と同じことをやっているのに、さも新しいことをやっているように装うことだ。

 「失われた20年」と言われるこの間、(新自由主義とは基本的に矛盾する)公共事業を中心とした緊急経済対策が毎年のように打たれ、計100兆円と言われる資金が投入されたが、デフレは続いた。日本の公的債務残高は対GDP比200%を超えてしまった。02年から08年リーマン・ショックまでの景気回復期、超低金利に伴う円安基調下、対米中輸出はほぼ倍増したものの、賃金の低下は続き、生産拠点の海外移転も止まらなかった。アベノミクスは、これらの「いつか見た光景」とあまりに似ている。

 11年の貿易収支は過去最大、かつ3年連続の赤字となった。昨年11月の国際収支は、(貿易に所得、サービスの収支を加えた)経常収支の赤字が過去最大となった。「貿易立国」は過去のものとなろうとしている。同時に、国内資金の枯渇に伴う長期金利上昇が国際価格の下落を招き、南欧同様の政府債務危機に陥る事態も現実味を増してきた。

 国際収支悪化の理由を「円高だったから」とか、ましてや「原発が止まっているから」に求めるのは、もはや言い訳にもならない。エネルギーや食料の需給ひっ迫傾向は「3・11」の前から明らかだったし、輸出増に寄与する円安効果も限定的となっているからだ。

 国際的条件が大きく変化する中にあっても、経済政策の目的は雇用を軸とする人々の生活の安定、暮らしの底上げであるはずだ。この原点から見ると、アベノミクスへの評価はさらに厳しくならざるを得ない。

 安倍首相は「女性が輝く日本」をつくるのだと言う。労働市場に入る女性の数はこの40年間にほぼ倍増したが、現状その6割弱は雇用の調整弁としての非正規労働者であり、その賃金水準は男性正社員の4割強でしかない。しかも、働く女性の子育てや子どもの教育への公的支援は後退を続けている。この一事をもってしても、労働の規制緩和がそうであるように、いわゆる「少子化」を自然現象に還元することができないのは明らかではないだろうか。

 貧困と格差を拡大し、人口を減少させる経済構造にメスを入れられないばかりか、それにさおさす政権が、「好循環実現」を叫んでいる。悪循環の間違いではないのか。目先の労働と社会保障コスト削減しか考えないのなら、結局そうなる。

(社会新報2014年2月5日号・主張)


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