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稲嶺市長再選 普天間問題の基本に立ち返るべき

 辺野古新基地建設反対を掲げる名護市の稲嶺進市長が大差で再選されると、安倍政権は選挙中にブチ上げた500億円の「振興基金」構想を引っ込め、返す刀で埋め立て工事などの調査・設計の請負業者を募る入札公告を行なった。民意がどうあろうと、地元に圧力をかけ、あくまで新基地を推進しようという構えであり、卑劣の一語に尽きる。

 政府は、二言目には「辺野古に移設しなければ普天間は固定化」との脅し文句を振り回すが、県内移設の条件付き返還にこだわり、危険な普天間を固定化しているのは政府の方である。そもそも沖縄に海兵隊が駐留し続ける理由があるのかという、この問題のいわば原点から、政府はこの間、一貫して目をそらし続けている。米国が、米中の全面衝突を覚悟して地上兵力を投入することがあり得るのか、それは沖縄の海兵隊なのかという問いには、外交的にも軍事的にも疑問符が付けられている。一言で言えば、在沖海兵隊は「抑止力」とは言えないのだ。

 また、7日に発表された海外有識者29人の辺野古移設反対声明は、普天間基地は沖縄戦中に米軍が日本本土攻撃に備えて住民の土地を強奪して造った基地であり、戦後返還されるべきだったとして、「返還に条件が付くことは本来的に許されない」と指摘している。

 国際法上の原則からも、国際政治と軍事の現実からも、普天間は無条件に返還されてしかるべきである。政府の姿勢は、この基本的な地点に立ち返るべきだ。

 ところが外務・防衛官僚は、首相の靖国参拝が米国の不興を買ったので辺野古移設を急ぐしかないなどと言い出す始末だ。しかし、日米間の軍事的連携に関するこの間の動きをよく見ると、「安保法制懇」の言う国際海峡での(武力行使にあたる)機雷除去や他国のPKO部隊防護、新防衛大綱に盛り込まれた水陸機動団(日本版海兵隊)新設、さらに日米武器共同開発、秘密保全法制強化などは、すでに一昨年夏の段階で「(第3次)アーミテージ・ナイレポート」がプログラムとして提示したものばかりであることが分かる。

 日韓対立だろうと震災・原発事故だろうと、どんなことでも自国の利害貫徹のために使うというのが米国外交の現実であるとすれば、米国の筋書きどおりにやればいいという日本の思考停止外交は、もはや外交の名に値しない。東アジアの将来構想が沖縄で盛んに語られているのは偶然ではない。

(社会新報2014年1月29日号・主張)


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