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秘密法案強行 見せかけの「チェック機関」に要注意

 「報道などで友だちから聞いた話をブログで書いたら民間人でも厳罰とか、映画などの自由な創作活動が制限されるということは決してない」(9日、会見で安倍首相)。誰がそんなケースを問題にしたというのか。首相は法文や審議の中身を理解していないか、確信犯的に国民をだまそうとしているかのどちらかだ。

 強行採決直前の第三者機関をめぐるドタバタ。首相は4日、内閣官房に「保全監視委員会」を置くと言い出し、衆院でこの問題に関し付則9条を加える4党修正に加わった維新、みんな両党は「反発」。5日には「監視委」は同条に基づく機関ではないとする新4党合意が交わされ、菅官房長官は内閣府に同条機関として「情報保全監察室」を設置すると答弁。その後採決になだれ込んだが、両党は委員会、本会議とも退席し合意内容への賛否を示さなかった。両党が法案成立に果たした役割、その責任は厳しく検証されるべきだ。

 そもそも議論の基となった付則9条は、秘密の指定・解除に関する基準について検証する機関の設置を検討するとしているのであり、個々の指定・解除について検証するとは言っていない。また、「監察室」と「監視委」は共に政府内に置かれ、前者は後者の事務局的な位置付けだ。そこでは統一基準の名の下に秘密を横並びで増やしていこうという力学は働いても、それを抑制する動機は見当たらない。つまり本当はドタバタに見せかけた計算づくなのだ。

 自民・石破幹事長が法案成立を待って騒ぎ出した「国会のチェック機関」も要注意だ。秘密保護法では、付則10条(これも修正で入った)で定める国会自身が検討し講じる秘密保護策を前提に、「かつ、わが国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと(行政機関の長が)認めたとき」に秘密が国会に提供されるとしている。要は、国会議員が自らの権能を縛るための委員会を国会の責任でつくれ、と言っているのだ。

 4党修正についてもう一点。60年、あるいはそれ以上の秘密永久化を認めた罪は深い。例えば65年日韓条約締結交渉に関する公文書は、戦後補償問題の解決にとって決定的に重要であるため、その全面開示は強く求められてきた。生存する元「慰安婦」らが数少なくなったまさにこのとき、不開示を続ける仕掛けが作られた(法律上は仮に日朝が正常化しなければ60年たっても秘密だ)。人道上、これは許されることなのか。

(社会新報2013年12月18日号・主張)


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