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秘密保護法 世界中が危惧する平和主義の放棄

 秘密保護法案の相次ぐ強行採決。安倍政権は本気で戦後憲法秩序を壊そうとしている。この本音を端的に吐露したのが、同法案反対デモとテロを同一視した自民・石破幹事長の発言だ。

 法案上のテロリズムの定義は「政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊するための活動」、つまり「A(強要)、またはB(殺傷)、またはC(破壊)のための活動」だ。政府は否定しているが、デモ・イコール・テロと読み取れる文章構造となっているのは否定できないのだ。

 問題発覚後、石破幹事長は釈明のつもりなのか、会見で「(デモが)ルールに基づくものである限り民主主義にとってむしろ望ましい」と述べた。これは上から目線が鼻につくという以上の問題をはらんでいる。ここで言うルールが、「公益及び公の秩序」に反する表現の自由は認めないとする自民党改憲案を念頭に置いたものであることを、本人はもはや隠す必要さえ感じていないのではないか。

 さらに同幹事長が、かつてイラク派兵を実施した責任者であり、自衛隊が行なわない武力行使、すなわち「国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為」の主体は国家または国家に準じる組織である(だからテロリストとの交戦は戦闘行為ではない)とした張本人であることを思い起こすべきだろう。同幹事長の認識において「テロリスト」は煮ても焼いても自由なのだ。

 国連関係者をはじめ世界が懸念を表明しているのは、まさにこうした点に対してだ。そして世界の目は、秘密保護法の人権軽視が戦後日本の平和主義放棄とつながっていることを見抜いている。何せ、政府の安保情報を民主主義的統制の埒外(らちがい)に置こうとする日本が秘密を共有しようとしているのは、世界中で自国の戦争だけは国際法の例外だとする米国なのだ。

 審議の中で政府が「主要な情報漏えい事件」の例として示したもののうち捜査中を除く6件中、判決が出たのは懲役10ヵ月確定が1件、2年6ヵ月猶予4年で上告中1件で、あとは起訴猶予3件、不起訴1件。これでなぜ「スパイ天国だから10年」なのか。そもそも法案は「外国のスパイ」を取り締まるためのものではない。デマ同然の宣伝で作られた制度が何を目的としているのか、暴露するのがもう遅いということはない。

(社会新報2013年12月11日号・主張)


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