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核燃料取出し 情報を公開してこそ安全を保てる

 東電は18日、福島第1原発4号機の使用済み燃料プールから核燃料を取り出し、敷地内の共用プールに移送する作業を開始した。燃料集合体1533体のうち、未使用の202体から始め、完了は来年末だという。

 作業中にもし落下事故が起き燃料体が露出でもしたら、強い放射線が出て、最悪の場合は「第2の3・11」となるため、作業の安全の確保には強い関心が寄せられている。当初8日にも開始とされていたが、実際の燃料輸送容器を使っての実証実験が追加されたことは、その表れだ。高速増殖炉もんじゅで運転再開直後、つり下げクレーンの事故が起きた(以降現在まで停止中)ことは、記憶に新しい。

 この点で気になるのは、事故想定とそれへの対策は十分かという問題だ。原子力情報室は今回の作業について、「単一故障の仮定を維持しており、原子力規制委員会もこれを追認していることは大きな問題」と指摘している。共通の原因により複数の機器トラブルが同時多発することへの備えがなかったことこそ、福島原発事故の教訓にほかならないからだ。4号機プールをめぐり最も心配されてきた、プールの崩壊と冷却水喪失に至る地震と津波の再来に至らずとも、構内で移送容器が損傷し、人が現場に近づけなくなっただけでも、火災事故の連鎖や他の号機への波及などが起こり得る。プール内の細かいがれきの存在、海水が注入されたことによる燃料棒の腐食劣化なども心配されている。このほど着手された作業自体が世界で初めての異常な状況下で行なわれているのであり、「想定外」の言い訳は次はもう通用しないことを、肝に銘じる必要がある。再稼働を念頭に置いたスケジュール優先主義などは、もってのほかだ。

 燃料処理は今後もずっと続く。想定の甘さを回避し、最悪事故への十分な対策を練るにはどうしたらいいか。真理は単純であり、衆知を集めることだ。現状と対応措置に関する情報を公開し、実地で作業にあたる人を含め立場の異なるさまざまな人々がオープンな場でそれを点検、検証する機会を保障すること以外にない。

 すでにお分かりだろうが、それの最大の障害となり得るのが、特定秘密保護法であり、その先取りとして「核物質防護」という名で行なわれてきた情報隠し、そして(今で言う)適性評価だ。原発事故対策の失敗こそ、情報の隠ぺいが人々を守らないことの最大の証左ではないだろうか。

(社会新報2013年11月27日号・主張)


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