HOME広報社会新報・主張・一覧>秘密保護法案 「主権在民」はお飾りの言葉になる

広報

社会新報・主張

社会新報

秘密保護法案 「主権在民」はお飾りの言葉になる

 特定秘密保護法案の問題点は実に多岐にわたっており、本紙(http://www5.sdp.or.jp/publicity/shimpo/shimpo_opinion.htm)では今後、その背景を含めさまざま指摘していく。今回は、基本的な論点を押さえておきたい。

 まず「知る権利」について。政府は公明党との調整の結果、法案に「知る権利」や「報道または取材の自由」への配慮を盛り込み、また、公益目的であり法令違反や著しく不当な方法によるものではない取材活動を「正当な業務」と位置付けたとされる(本稿執筆時点では未提出なのだが)。この正当業務の判断基準は西山太吉さんの「外務省機密漏えい事件」に関する最高裁判断に求められるとされるが、司法は沖縄返還密約の存在を最終的には認めたものの、最高裁はまさにこの基準に基づき有罪判決を確定させたことを忘れてはいけない。最高裁が言う、直ちに触法行為でなくても「違法性を帯びる」場合とは何か、政府は明らかにしていない。

 報道の抑制に限らず秘密保護法問題の根本は、「行政機関の長」はそもそも特定秘密が存在していること自体を認める必要がなく(しかも検証抜きの永久指定が可能)、国会の秘密会に情報提供するか否かの判断も「長」、すなわち行政に委ねられていることではないか。秘密を知らないことによっても、さらには知ってしまったが漏らしてはいけないこと(過失漏えいも処罰対象)によっても、国政調査権や文民統制は空洞化し、国会の権能はそがれ、政党政治も機能しなくなる。一言で言えば、「立憲主義」を否定する安倍改憲の実現を待たずに、国家権力が一方的に主権者国民を統制する関係が制度として裏打ちされ、議会制民主主義は言葉だけのものとなる。こうした事態への想像力を、具体的な場面に即して発揮できるかどうかが、反対運動の鍵になるだろう。

 若干例を挙げよう。9月、61年に米本土上空で水爆誤落下事件が起きていたことが報道された。この事実は英報道機関の情報公開請求による米公文書開示で明らかになったものだが、日本では今後、こういう事実が明るみに出る可能性は限りなく低くなってしまう。

 また東電は今、使用済み燃料プール内の燃料棒の位置関係さえ教えないのだという。これを隠すことがどうして「核物質防護」なのか理解不能だが、原発関係者が秘密取扱者になれば、情報の漏えいや取得は刑罰をもって禁じられる。「安全保障に支障を与えるおそれ」は、全てを黙らせるマジックワードになるのだ。


HOME広報社会新報・主張・一覧>秘密保護法案 「主権在民」はお飾りの言葉になる