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汚染水対策 賠償枠組みの見直しと一体の問題

 東電は12日、福島第1原発の港湾内と外洋との境目で、6月以降で最も高いセシウム値が検出されたと発表した。東電は8月中旬から港湾外でも測定を行なっているが、今月10日には原発の沖合1`でセシウムが出た。安倍首相の「ブロック発言」は事実として次々否定されている。すでに先月18日、IAEA科学フォーラムの場で気象研究所の研究官が、港湾外の放出口から放射能が外洋に放出されていると報告していた。

 外洋漏えいの現実は、建屋からトレンチ(坑道)へと流れた高濃度汚染水の問題への注目を求めるものだ。これを忘れさせるかのようにもてはやされている核種除去装置(ALPS)や「凍土壁」にしても、処理能力や、流入地下水量(水位)と循環冷却水量がうまくバランスを取れるのか等、難問山積なのが現状だ。

 こうした中で東電は、汚染水対策で1兆円確保を明言した。これは、福島第1の5、6号機の廃炉確定、(一度に損失計上せず減価償却費を廃炉施設のそれと共に電気料金に上乗せできる)廃炉新会計ルールの施行、柏崎6、7号機の再稼働申請、金融機関の融資継続という一連の流れの中で行なわれた約束であり、東電経営は「粉飾」「ゾンビ化」の様相を深めている。

 また政府・与党内では、汚染水対策や「東電処理」に関する構想が乱れ飛んでおり、利権をめぐる暗闘が展開されているとも言える状況だ。国会の汚染水問題閉会中審査では、東電の破綻処理を求める野党議員に対し、政府側から、銀行などが持つ電力債は電気事業法で優先弁済することが決まっているので、東電をつぶすと賠償金が出なくなるがいいのかという、脅しともとれる答弁があった。

 しかし、東電処理論は、何も資産をバラしてたたき売る(それで留飲を下げる、あるいは分け前にあずかる)ことが目的なのではない。まず第一に、原発事故の被害者に対し正当な賠償・補償を将来にわたって確実に行なうためには、東電救済を優先した今の賠償スキームの見直しが不可欠だと言っているのだ。そのためには経営者の責任はもちろん、株主責任、銀行の貸し手責任を問うことは当然の前提であり、これ抜きに税金や電気料金という形で国民に安易に負担を転嫁することは許されない。政府が銀行の債権保全の肩棒を担ぐような態度を取るべきではない。社民党は、今こそ広範な国民的議論を巻き起こすべき時だと訴える。


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