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積極的平和主義 「地球の裏側」でも「必要最小限」か

 安倍首相は先の訪米で「積極的平和主義」をアピールした。国家安保戦略に関する政府有識者会議によると、これは正しくは「国際協調主義に基づく積極的平和主義」なのだという。

 首相訪米の目的の一つに、「右翼ナショナリスト政権」という欧米の懸念払しょくがあったことは間違いない。「私を右翼の軍国主義者とお呼びになりたいならどうぞ」という首相の居直り的発言は、安倍政権下での改憲に不安を抱いているとされる米政権に向けられたものだ。国連総会演説で戦時性暴力に言及し、「女性が輝く社会」をブチ上げたのも、自国の「慰安婦」問題を棚に上げる厚かましさにはうすら寒いものを感じさせたが、その自己例外化ぶりを含め「米国と同じですよ」という首相なりの訴えだったのかもしれない。

 ではなぜ「右翼」ではないのかというと、国際協調主義の積極的平和主義なのだからというのが、首相の用意した答えだ。これは首相が訪問先で触れたように、集団的自衛権行使容認の解釈改憲という文脈の中で語られている。首相は他にも国連PKO参加への積極姿勢を示したが、こっちは野党の一部にある国連集団安保の武力行使参加合憲論を横目で見つつ、具体的ケースに即した形で集団的自衛権行使へのアクセス路確保を図ったものと思われる。

 こうした一連の流れの結び目にあるのが、「地理的な概念で『地球の裏側』という考え方はしない」との首相の言明だ。「事態の性質に着目した概念」とされた周辺事態の場合でも「地球の裏側」での米軍支援は公式否定されたものだが、ついにこれを踏み越えた。すでに、以前から語られていたPKO派遣先での他国軍への駆けつけ警護容認に加え、中東海域を念頭に置いた紛争下における機雷除去の合憲化というアドバルーンが上げられている。

 想定問答ばかりではない。首相が訪米に先立ち自衛隊が唯一の海外活動拠点(事実上の基地)を置くジブチを訪れたことは軽視できない。政府はソマリア沖に派遣中の海上自衛隊護衛艦を他国との連合部隊に参加させるつもりだからだ。これは解釈改憲を待たずに武器使用基準の「国際標準化」を実践するケースとなり得るし、集団的自衛権行使に肉薄し、さらに既成事実化する突破口ともなり得る。

 国際協調主義に基づく積極的平和主義とは、「裏側でもどこでもちゃんと米国の戦争をお手伝いしますよ宣言」の言い換えなのだ。


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