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消費増税対策 増収分を企業に還元では方向が逆

 安倍政権は、消費税率を8%へと引き上げた場合の景気の落ち込みを防ぐためだとして、総額5兆円規模の経済対策を検討中だ。消費増税が景気にマイナスに働くことは先刻承知で、だから3%分の増税額、すなわち8兆円の負担増のうち2%分、5兆円を「還元」するのだと息巻いているのだから、これは完全に出来レース。しかも、中身は「還元セール」に乗じた企業への減税や公共事業積み増しが中心となる方向だ。

 さらに、国民にとって今後の負担増は直接の増税だけではない。もともと昨年の民主党政権時の国会論戦では、子ども・子育て新システムなど社会保障の「充実」に使われるのは増税分の1%だけで、後は制度維持という名の借金穴埋めであることが批判されていた。さらに昨年6月の民自公3党合意では、後期高齢者医療制度の扱いや年金改革は社会保障制度改革国民会議に丸投げされ、消費税の社会保障4経費目的税化さえぐらつき始めた。そして今年8月の同会議報告書は、後期医療や年金の抜本改革を放棄し、見事に負担増のリストを並べ立てている。

 今度の対策に盛り込まれるかどうかが注目されている法人実効税率の引き下げは、企業減税メニューの一つにすぎないとも言えるが、その扱いは政権の税制像を象徴するものとなろう。もともと消費税導入以来の総税収がその間の法人減税による減収額にほぼ匹敵していることはよく知られているが、直近の例でも、所得税などの復興増税による増収額は、その増税期間中の法人減税額を穴埋めする格好となっている。念のため付け加えれば、法人税は復興増税で「増税」されるのではなく、減税を3年先延ばししているだけなのだ。

 90年の税収ピークを回復できていないとよく言われる。だがより根本的には、その後GDPが増えてもそれに見合った税収増が見られなかったことが問題なのであり、まさに税制構造がゆがんでいるのだ。7割の赤字企業は法人税を払わず、加えて輸出大企業の払う法人税は法人税収の1割にも満たない。だから麻生財務相の言うように「減税しても効果は限られる」(だからしなくてもよい)のではなく、これら大企業が税金を納めずに280兆円と言われる巨額の内部留保をため込んできた構造こそが、そもそも企業減税なのだ。これを国民に還元させるのでなく、さらなる消費増税を示唆する財政計画を国際公約することなど論外だ。


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