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派遣法再改正 安上がりの派遣任せ業務を恒久化

 労働者派遣制度見直しに関する厚労省の研究会報告がまとまったのを受け、8月30日から同省労政審で派遣法再改正に関する議論が始まった。09年の政権交代が流れをつくった12年の同法改正で、派遣労働者保護の方向に曲がりなりにもかじが切られたというのに、今回の議論は、再び規制緩和の方へと逆流していきそうな雲行きとなっている。

 同省研究会報告は、これまでの(上限設定のない専門26業務など)業務に応じた派遣期間の上限規制を撤廃し、有期雇用派遣の上限を個人ごとに3年とする「人を単位とした規制手法」への転換という考え方を打ち出した。このベースとなったのが5月に出された規制改革会議雇用ワーキング・グループ(WG)報告だ。

 その雇用WG報告の特徴は、「常用代替防止は正社員の保護を目的としており、派遣労働者の保護とは必ずしも相いれない」として、従来派遣規制の根拠とされてきた「常用代替防止」の旗をあっさり降ろしたことだ。同報告はその代わりに、同一の有期雇用派遣労働者について同一の派遣先への3年の派遣期間上限を設けることを「派遣という形態で派遣労働者が特定の派遣先に常用的に利用されるという派遣労働の濫用(らんよう)的利用を防止する手法」と位置付けている。

 だが、これで本当に労働者保護の観点からの「派遣労働の濫用防止」が図れるのか。派遣労働者の半分弱は従来の専門26業務で働いており、また約6割が3年以上派遣で働いている。「人」単位規制の導入で彼らの働き方がたちどころに不安定化することは明らかだ。同報告自らが、「『人』をベースにした派遣期間の上限設定は『人』を交代させることにより永続的に派遣を続けることができ、『常用代替防止』に反するという意見も考えられる」とし、新規制の導入効果とは派遣に任せることのできる業務の拡大にほかならないことを認めているのだ。

 具体的には、前の派遣法改正で実現した期間制限違反などの違法派遣を受け入れた派遣先は派遣労働者に対し直接雇用の申し込みを行なったと見なす「みなし雇用申し込み制度」や、労働契約法改正で導入された有期雇用通算5年超の労働者に対する無期雇用転換申し込み権付与が空洞化してしまうおそれが、言い換えれば、人さえ入れ替えれば安く派遣を使い続けることができる仕組みが確立してしまうおそれが強くなったことに注意すべきだろう。


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