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汚染水危機 東電の命脈はこれで完全に尽きた

 福島原発の汚染水漏れ問題で8月7日付の本欄は「事態は戦慄的なレベルに達している」と書いた。だが、その後の展開はその時点の最悪予測をも超えた。

 東電は当初、海に流れ出したのは汚染土壌に接触した地下水だとしていたが、その後、建屋から流れ込んでトレンチ(坑道)にたまった汚染水の直接流出を認めた。そして、貯水タンクからの高濃度汚染水漏れ。東電はこれも海への流出への可能性を認め、事態は日に日に悪化している。

 この間、東電が押っ取り刀で造った海側遮水壁は、あっという間に地下水に乗り越えられた。地下水くみ上げ井戸は事故後、現在までほとんど機能していない。さらに、汚染水漏れを起こした例の簡易型タンクの地盤沈下による損傷や地下貯水層の浮き上がり。これらのことは、東電がそもそも地下水管理に失敗、というよりは、費用をケチるために対策を事実上放棄してきたことを意味している。

 国が「一歩前に出る」から「前面に出る」へ。あたかも秘密保全法を先取りしたかのような情報小出し体制が敷かれる中、安倍首相の言いぶりはこのように変わり、原発周囲の凍土式遮水壁の建設などのため来年度を待たずに国費470億円投入が始まることとなった。東電が当事者能力を失っていることは確かだとしても、少し出来過ぎてはいないか。この間の汚染水危機は、国から予算を引き出すとともに、「汚染レベルが一定以下」の貯水(あのタンク高濃度汚染水もセシウムは除かれている!)やくみ上げ地下水の海洋放出を、やむなしとして認めさせるための東電流「炎上商法」との見方も、あながち極端とは言えないだろう。

 政府が正確な事態把握と廃炉プロセス全体を含む対応方針確立に全力を挙げるのは当然のこととしても、東電がそ知らぬ顔で国民負担を上乗せし、「柏崎再稼働で経営黒字化」などとうそぶくようなことは、到底認められるはずもない。東電が対処できないというのならば、経営形態や賠償の枠組みを含む抜本的見直しは避けて通れないだろう。

 すなわち、かねてから指摘されているように、東電は法的破綻処理を行ない、株主責任や金融機関の貸手責任を問うた上で、発送電の分離を前提とし、併せて原発(廃炉)事業を切り離すなどの大手術を断行するほかないのではないか。

 まずは政府も東電も、再稼働優先の方針や態勢を根本的に改めるべきだ。

 

(参考)
「東京電力福島第一原発の汚染水問題について」
2013年9月2日/社民党政策審議会
http://www5.sdp.or.jp/policy/policy/energy/130902.htm


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