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安保法制懇 9条有名無実化ならナチスと同じ

 安倍首相が第1次政権時に設置した「安保法制懇」は、年内の提言取りまとめを目指して今月下旬にも議論を再開するという。こうした中、法制懇の中心メンバーからは、集団的自衛権行使の「法理的禁止を全面的に解く」(北岡伸一座長代理)として、解釈改憲で全面解禁する方向性が示されている。要は行使を容認するかしないか、2つに1つしかないというわけだ。

 すでに首相は政権交代後、あらためて法制懇に諮問を行なうに当たり、第1次政権下で検討対象とされたいわゆる「4類型」にとらわれることのないよう指示していた。なぜだろうか。

 08年の報告書では4類型のうち、「公海上での米艦防護」と「米国に向かう弾道ミサイル迎撃」の2類型について集団的自衛権行使を容認すべきだとされた。しかし、日本有事ではない「周辺事態」における米軍への後方支援を個別的自衛権の延長上に位置付け、従来の9条解釈との矛盾をごまかしてきたなどの経緯があるため、今回もあえて集団的自衛権を持ち出す必要はないとの見解が出てきており、議論が混乱している。また、軍事技術的には想定する意味のないケースとの指摘もある。こうした自縄自縛状態に陥るのを避けるためには、一挙解禁しかないということではないか。

 集団的自衛権行使容認とは従来の自衛権発動3要件が空洞化するということであり、これは武器使用をめぐる警察権行使との境目の曖昧化という形でも跳ね返ってくる。これらとの関連で注意すべきは、法制懇が国連の集団安全保障への参加も当然視している点だ。

 国連や国際法の縛りがある、と言うかもしれない。だが、でっち上げの大量破壊兵器保有疑惑を理由にイラクを先制攻撃した米国を日本が支持、支援したのはつい昨日のことだ。古関彰一・獨協大教授が「なぜ自民党の改憲案に開戦規定がないのか」とつとに問うているように、自民案が戦争を放棄し、武力行使は用いないと言っていても、これは武力行使、すなわち「国家の物的・人的組織体による国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為」ではないなどの理屈をこね、米国の戦争に事実上参加できればいいというのが、自民党や法制懇の狙いなのだ。

 ナチスは麻生副総理が言うように「ナチス憲法」を制定したのではなく、ワイマール憲法には縛られないという法律を制定したのだ。集団的自衛権行使の合憲化はこの手法と変わらない。


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