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ナチス賛美発言 立憲主義否定の本音露呈するもの

 麻生副総理・財務相のナチス賛美発言について、社民、民主、みんな、共産、生活の野党5党は安倍首相に対し、麻生副総理の罷免を求める申し入れを行なおうとしたが、官邸側は受け取りさえ拒否して門前払いした。これは、ナチス政権に学べと公然と発言した副総理の政治的責任を不問に付すと同時に、首相の任命責任や安倍内閣全体の歴史認識への追及を免れようとするものであり、断じて容認できない重大な事態だ。

 「だから、静かにやろうと。憲法は、ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。誰も気づかないで変わった。あの手口学んだらどうかね」

 これが3日後には、「喧騒(けんそう)に紛れて十分な国民的理解および議論のないまま進んでしまった悪(あ)しき例として、ナチス政権下のワイマール憲法に係る経緯を挙げたところ」にすり変わったのだから、全くあきれるほかない。

 ここで注意すべきは、副総理は「だから、静かに…」の前段、「ヒトラーはいかにも軍事力で(政権を)とったと思われる。全然違いますよ」とも述べていることだ。ファシズム体制確立のプロセスに対する無理解(というより肯定的理解)が端的に示されている。

 いわゆる全権委任法の制定が強行されたのは1933年3月24日。ヒトラーは1月30日に首相になったばかりだった。2月27日には、後に共産党弾圧の口実とされた国会議事堂炎上事件が起き、翌28日にはヒンデンブルク大統領が「民族と国家を保護するための緊急令」に署名。この時点で憲法にうたう基本的人権は停止され、大量検挙が始まった。この前年6月には、社民党(SPD)の牙城だったプロイセン州政府が中央政府によって強制解散させられ、庁舎が軍隊に占拠されるという事件が起きている。軍首脳ら権力者の間ではクーデターや内戦が公然と語られていた。このどこが「静か」な環境なのだろうか。

 副総理の発言は、安倍政権が「国民が憲法を決めるため」と主張する96条改憲の真の狙いを図らずも露呈してしまった。すなわち、国会の3分の2の賛成を得るための大議論が国民的議論を巻き起こすことは避けたいのだ。本来、憲法制定権力の淵源(えんげん)たる国民が「ある日気づいたら」憲法が変わっていたなどということが、立憲主義体制下で起こっていいはずがないではないか。立憲主義否定の本音が出たのだ。


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