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新規制基準 再稼働のお墨付きに使われる懸念

 原発政策の反動化が加速している。原子力規制委は、原発の新規制基準の7月8日施行を待たずして、大飯原発3、4号機は「新基準におおむね適合」「直ちに安全上重大な問題が生じるものではない」として、運転継続を事実上認めた。

 大飯は新基準に本当に適合しているのか。敷地内活断層の評価は先送りされ、評価の基本中の基本である基準地震動も基準津波高も未確定。免震重要棟が完成しない間に3、4号機がやられても、(なぜか無事な)隣の炉の中央制御室横の(免震構造ではない)会議室を使えばよいというのだから、基準に照らした運転継続の法的根拠はないというのが自然な考え方だ。国会が違憲状態のまま改憲を発議しようという国なのだから、これぐらいで驚いてはいけないのだろうか。

 そもそも、大飯のような加圧水型炉でフィルターベント設置の5年間猶予を認めるなど、新基準自体に問題が多いことも明らかだ。こうなった要因は基準作りの経過にすでに伏在していた。新基準は一般的に、規制委設置と併せて法定化されたシビアアクシデント(過酷事故)対策の具体化と理解されているが、基準案策定過程でシビアアクシデントの用語は消え、これまで法律で使われていた重大事故の語にすり替わった。だが重大事故とは従来メルトダウンが起きても格納容器の閉じ込め機能は維持され外部への放射能放出は限定的な事態という意味で使われてきたものであり、概念上の混乱が生じている。

 このことは、新基準策定では原子炉立地審査指針が見直しの対象とされず、新基準に重大事故に対する立地評価が含まれていないことと、深く関係している。立地評価とは簡単に言えば、事故時に炉の位置が住民から十分離れているかどうかを、敷地境界内での被ばく線量が目安値以下になっているかどうかで判断することだが、それはやらなくていいというのだ。つまり、格納容器が損傷するような事態では線量が目安値を超えることがほぼ確実なので、周辺住民の線量制限自体をなかったことにしてしまおうという発想だ。これも、改憲ルールを守っていると9条は変えられそうにないから、ルールそのものを変えてしまおうという現政権の態度とどこか似ている。

 初めに再稼働容認の結論ありき。これでは新基準は信頼されない。原発問題で最も蓄積のある社民党が運用監視と見直し要求の先頭に立たなければならない。


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