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国家安保基本法 集団的自衛権行使が現実のものに

 安倍首相は、参院選で改憲の是非を争点化する姿勢を明確にした。改憲手続きを緩める96条改正を公約の柱の一つに据えるとするだけでなく、9条改憲の意図も公言するようになった。

 しかも、9条明文改憲を待たずに、年末の防衛大綱再改定をめどとして、集団的自衛権行使を容認する解釈改憲を行なうとしていることは、極めて重大だ。

 集団的自衛権問題で言えば、自民党が新改憲案公表後の昨年7月に概要を取りまとめた「国家安全保障基本法案」に注目する必要がある。この法案の取り扱いが憲法解釈見直しのプロセスとどう絡むかについては未確定な部分があるものの、国家安保基本法は集団的自衛権行使のいわば手続き法としての性格を持っており、同法および他の関連法制定は「下位法による下克上・クーデター」の完成型として、9条の有名無実化を決定づけるものだからだ。

 国家安保基本法案は10条で、「わが国と密接な関係にある他国に対する、外部からの武力攻撃が発生した事態」において、国連安保理への報告、「その国に対する攻撃がわが国に対する攻撃とみなしうるに足る関係性」の認定、当該国からの支援要請などを要件として、(集団的)自衛権を行使する(集団自衛事態)のだという(こうした規定を置く目的は「自動参戦国化」の実態を隠すためだと見るべきだろう)。また11条では国連集団安全保障の、さらに多国籍軍型の武力行使への参加について規定する。そして自民は、これらについては別途、集団自衛事態法や国際平和協力法の制定を予定するとしている。

 もちろん、これだけではない。関連法として挙げられているものの中には日本版NSC(国家安全保障会議設置法)もある。このNSCが実際に機能するためには、秘密保全法制整備がセットで行なわれなければならないことは、政府も公然と認めている。その秘密保全法は、自民党改憲案の新9条の2の4項、国家安保基本法の3条3項の軍事機密保全規定が裏打ちするという構造となっている。

 かくも明らかなように、自民党はすでに、「戦争のできる国」の法体系の構想を用意しており、ここに触れたのはその一端にすぎないのだ。来る参院選で問われているのは、単に首相が言うような「憲法改正のリアリティ(現実性)」にとどまるのではなく、「戦争のできる国」のリアリティであることを、私たちは肝に銘じなければならない。


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