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TPP事前協議 情報操作で隠ぺいされてきた裏交渉

 政府は、7月のTPP(環太平洋経済連携協定)交渉入りに躍起となっている。なぜかと言えば、次の交渉会合は9月であり、10月APEC会議で大筋合意、年内妥結という筋書きを前提とすれば、そもそも日本に交渉の場などないではないかという批判をかわすためには、7月に交渉会合を前倒ししてもらい、そこに参加するしかないからだ。だが、交渉参加全11ヵ国による日本の参加承認と先行9ヵ国による協定作りとは別個のことだと米国は明言しており、交渉参加前倒しは目くらましにすぎない。

 これに関連して政府は、日米2国間事前協議の決着を急ぎ、合意内容は公表すると言っている。では、これまで一切内容を明らかにせずに「情報収集」などとうそぶき、TPP参加による経済影響試算も安倍首相の交渉参加表明後に公表したほどの政府が、ようやく国民的議論を喚起する気になったのかと言えば、そんなことはあり得ない。むしろ、既成事実を突きつけた上で、交渉参加を早めるためには仕方ないのだと開き直るつもりなのだろう。政府の情報隠しは韓国で米韓FTA(自由貿易協定)反対の世論の火に油を注いだ最大の要因だが、それでも李前政権は批准強行採決の直前まで協定内容を明らかにしなかった。その過程と本質的には同じなのだ。

 「自動車部門や保険部門に関する残された懸案事項」および「その他の非関税措置」に関する2国間協議の継続と早期妥結に向けた努力は、2月の日米共同声明に明記されていたことだ。その共同声明前、日本はすでに「入場料」とも「頭金」とも言われるものを払わされてきた。日本が米国車にかける関税はゼロなのに、米国が日本車にかける関税の据え置きは容認。米国の特定危険部位除去体制が不十分でBSE(牛海面状脳症)検査率もごくわずかなのは分かっているのに、米国産牛肉輸入条件を緩和した(これは米韓FTA交渉入りの条件でもあった)。

 しかも米通商代表部(USTR)は1日発表の貿易障壁に関する年次報告で、米国車への日本の市場開放努力は不十分とするとともに、郵政グループに加え相互扶助を原理とする「共済」なども米企業と同等の競争条件に置くことを求め、対日圧力を強めた。日本の交渉参加とは、事前協議で米国の要求をのむのと同義であることを、これほどあからさまに示す事態はない。ここまでして守られる「国益」とは、一体何なのか。


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