HOME広報社会新報・主張・一覧>成長戦略 安心安全脅かす規制緩和に警戒を

広報

社会新報・主張

社会新報

成長戦略 安心安全脅かす規制緩和に警戒を

 アベノミクス「3本の矢」の1つ、「成長戦略」が、徐々にその正体を現し始めた。産業競争力会議の竹中平蔵委員は「規制改革が成長戦略の一丁目一番地」とし、その対象として為替、法人税、TPP(環太平洋経済連携協定)、雇用、環境、電力などを挙げた。

 規制改革会議も異口同音に「一丁目一番地」論を掲げ、健康・医療、エネルギー・環境、雇用、創業の4分野を議論対象とした。このうち雇用分野では、派遣労働の対象業務の見直し、裁量労働の対象業務・対象者の拡大、解雇基準の明確化・柔軟化などを検討課題として挙げている。一見して明らかなとおり、かつて導入をもくろみ挫折した解雇金銭解決制やホワイトカラーの労働時間規制撤廃などが再浮上してくるだろう。

 派遣労働については特に警戒が必要だ。前民主党政権下でいったんは法案化された製造業派遣や登録型派遣の原則禁止の扱いが労政審に差し戻されているが、事はそこにとどまらず、従来あくまで例外とされてきた「派遣労働」という働き方の取り扱い(すなわち、労組等を除く労働者供給事業禁止の例外としての労働者派遣事業という法律の立て付け)を改め、「例外」ではなくしてしまおうという意図もうかがわれる。

 残る2本の「矢」との関連で言えば、大規模公共事業を伴う都市再開発は、地価高騰を当て込んだ投機対象となることを含め、過剰資本のはけ口として、高度成長期とは様相を異にしつつも死活的な意味を持っていることに注意すべきだ。だが、生活者の立場から危惧される問題が多いことはバブルの痛い教訓だった。

 また政府は、金融緩和がもたらした円安について、デフレ脱却が目的であり、為替レートは市場が決定した結果なのだから「通貨安競争」には当たらないと強弁している。そこには為替投機をあおりこそすれ、それを抑制しようという発想はみじんも感じられない。

 折も折、欧州委員会(EUの行政執行機関)は、来年1月から先行11ヵ国で「金融取引税」を導入する方向に歩み出した(導入国で発行された金融商品への課税は全世界で可能になる)。金融取引税は投機抑制を目的にするのと同時に、地球規模での富の再分配をも視野に入れている。国内での再分配に背を向ける政府が、世界大の問題に無関心なのも無理はないということか。規制緩和による生活破壊との闘いは、世界的かつ同時代的な課題なのだ。


HOME広報社会新報・主張・一覧>成長戦略 安心安全脅かす規制緩和に警戒を